2015年9月30日水曜日

ディズニーランド・デビュー

保育園に迎えに行くと先生が言った。トゥットゥたちは小さな椅子を連ねて電車ごっこをしていた。トゥットゥは運転手の子に「ディズニーランドにいってくださぁーい!」と言ったという。ところが「ディズニーランドは通過します。」とにべもない答えをされ、トゥットゥはショックで悲しそうな顔をしたそうだ。

普通ならここで終わってしまいそうなエピソードだが、トゥットゥはさらに「ディズニーランドにとまってください!」と粘り、運転手に特別に止めてもらったと言う。このエピソードを聞いて思った。

「トゥットゥをディズニーランドに連れていってあげねばなるまい!」

それまでディズニーランドの話は、折に触れて「ミッキーが住んでいるところ。いつか行けるといいね。」くらいには伝えていた。実際に1歳くらいでディズニーランドにデビューした話をお母さん友達に聞いていたのだが、「楽しむにはまだ早い。3歳くらいになってから。」と思っていた。

しかし先日USJの話にあらかわ遊園で対抗したくらいだ。もうディズニーランドがどんなに楽しい場所なのか、お友達の話で想像しているのであろう。今がデビューされるタイミングなのではないか。そう思ったら私の実行は早かった。

私の有給休暇が消失してしまう9月末までにそれを取って連れていこう。ただ悩ましかったのはジェイジェイが出張で留守であることだった。ディズニーランドデビューするなら、ジェイジェイとサチ母と一緒にと思っていたのだ。しかし皆の揃う土日だとトゥットゥが保育園児(義務教育前)のアドバンテージを活かせない。10月の平日にしては私の消失分有給休暇をとる意味がなくなる。ジェイジェイごめん。やはり9月中に行かせてもらう。

しかしトゥットゥと二人きりでいくには荷物持ちや食事やトイレなど心もとない。ここは現在専業主婦であり、かつてオリエン○ルランド関係者だった妹のヤマナちゃん(トゥットゥの叔母)をパートナーに選ぼう。そうしてヤマナちゃんの予定を押さえた。

私は実に8年ぶりくらいとなる。ほとんど素人だ。事前にディズニーランド攻略本を読み、小さな子供が楽しめるアトラクションやエリアを事前に押さえ、計画した。





9月30日、10:30、舞浜駅を降りて右に進むと左手にはディズニーショップ「ボン・ヴォヤージュ」右手奥に見えるお城のような東京ディズニーランドホテル。ほら、トゥットゥ、ディズニーランドだよ! 高鳴る胸、高鳴る…、高な…、あれ? なんだろう、この冷静な感じ。私は年をとったということか。そんなことを思った。

チケットを買って、ランドに入るとすぐハロウィンのモニュメント。トゥットゥは無言。ハロウィンがなんたるかまだわからないか。「写真撮る?」と聞いてくれたヤマナちゃんの申し出を断って、素通りしてワールドバサールに入る。そして奥に見えたものは…、シンデレラ城!

「トゥットゥ、お城だよ!」

…トゥットゥまたもや無言。感動しないのかしら。そうこうしているうちに昼前のハロウィンパレードが始まろうとしていた。集まる人たち。私たちもできるだけ前のほう進んだ。背の高いヤマナちゃんがトゥットゥを肩車してくれた。

音楽が鳴りフロートが次々とやってきた。

「ほら、トゥットゥ、ミニーちゃんだよ!」
「ほら、トゥットゥ、ミッキーが手を降ってるよ!」

肩車されたトゥットゥは少しだけ笑ったように見えた。しかし圧倒されているのか特に興奮することもなく、発した言葉は

「かぼちゃのおばけ…」

だけだった。確かにフロートはかぼちゃのおばけだものね。しかしもっと「うわあ、ミッキーだ!」とかはしゃいでくれることを想像していただけに、少し残念だった。以前、パレード観覧の最前列で「うわああああ、ミッキー、ミッキィィィィ!」と感激で泣き叫んでいる未就学児を見たことがあったので、それくらい興奮してくれると思ったのだ。親の期待とは勝手なものである。

パレードが終わると計画した通り、トゥットゥの遊べるエリアに向かおうとした。ところがそこを離れようとした時トゥットゥが大声で主張した。

「ぷうせんがほしいの!」

ワールドバザールに風船売りのキャストがいた。確かそれを見て小声で「ぷうせん」「ぷうせん…」(トゥットゥは風船のことを「ぷうせん」と言う)と言っていたが、欲しかったのか。後でお土産で買おうね、と説得をしたが、頑として譲らなかった。ずっと「ふうせんがほしい」と言い続けた。仕方ない。買おう。ワールドバザールに戻って風船を買った。

「『ありのままで』がほしいの!」

即決で「アナと雪の女王」の風船となった。(トゥットゥは「アナと雪の女王」のことを未だに「ありのままで」と言う)

それを持ってアトラクションを回った。ベビーカーにくくりつけておこうとしたのだが、トゥットゥは自分で持つと言って聞かなかった。「全てのアトラクションは風船を持ってお乗りになることができます」とどこかに書いてあったのを見て、さすがディズニーランド、子供の心をわかっていると感心した。ただ実際問題、コースターなどでは破けたり、お客さんの邪魔になったりするので、やはりアトラクションに乗るときだけはベビーカーにくくりつけておいたのだが。

そして風船以外にも、ヤマナちゃんが日よけにくれたミッキーのフード付きタオルを、ミッキー変身グッズだと信じ込んだトゥットゥは、それを被った状態でベビーカーに乗って行き先を回った。

行ったエリア、アトラクションは以下の通りである。
※[]内は待ち時間

−−−−−−【10:30】−−−−−−
パレード鑑賞(シンデレラ城前)
   ヤマナちゃんの肩車で、しかし反応薄
ワールドバザール(風船購入)
   これでほぼ満足を得られた様子
トゥーンタウン
 グーフィーの家[15分]
   最初は並ぶことの意味がわからないようだった
 ドナルドダックの船
   びびりで滑り台滑れず
 ミニーの家
   オーブンの中で膨らんでは萎むケーキに「おーっ」と奇声を発していた
 チップ&テールの家×2回
   階段がツボだったらしく「もういちど」と手を振りほどいて登った
 キャラメルポップコーン購入
   3人で貪るように食べる
−−−−−−【12:30】−−−−−−
ファンタジーランド
 イッツ・ア・スモール・ザ・ワールド[5分]
   出てからも「お人形さん」「ボート」というキーワードで思い出語り
 キャラクターと写真撮影
   白雪姫のこびとのてれすけと一緒に
 キャッスル・カルーセル[5分]
   二人乗りできる馬の背が高く、私がびびる
 空飛ぶダンボ[30分]
   一番待ったアトラクション、その割には反応薄
 パレード鑑賞(空飛ぶダンボ付近)
   ミッキー&ミニーの風船フロートに「ぷうせん!」と興奮
 アリスのティーパーティ[10分]
   トゥットゥが一番楽しんだもの、回転をかけるとゲラゲラ笑っていた
−−−−−−【14:30】−−−−−−
 クイーン・オブ・ハートのバンケットホール(レストラン) 
   お子様ランチを平らげる
クリッターカントリー
 蒸気船マークトウェイン号
   のんびり船旅、途中のインディアンや鹿の人形に「これなに?」を連発
−−−−−−【16:30】−−−−−−

ランド滞在中はヤマナちゃんには終始お世話になった。トゥットゥの相手をしてくれたことはもちろんだが、私の諸々の不安も払拭でき、余裕を持ってトゥットゥに接することができた。この場を借りて お礼を言いたい。ありがとう。




家に帰った後、ディズニーランドについてトゥットゥに感想をきいた。

「トゥットゥはすべりだいがこわくてすべれなかった」
「カップがたのしかったねー」
「トゥットゥはピンクのカップがすき」
「ボートにのったねー」
「お人形さんがたくさんいたねー」
「ミッキーはたかいところにいたねー(フロートの上)」
「ヤマナちゃんからミッキーになるタオルをもらった」

ひそかに泣いて喜ばんばかりの反応を期待していたものの終始冷静だったのは、前回のあらかわ遊園である程度予想できたが、薄い反応のように見えてしっかり覚えているので、安心した。母親の務めを果たしたような気がした。

そこではっと思ったのだ。私は初めてディズニーランドでわくわくしなかったのは年をとったせいだと思っていた。それも一つの原因ではあるだろう。しかし一番は今まで自分が楽しむためにディズニーランドに行っていたが、今回はトゥットゥを楽しませるために、引率役で行ったのだ。だからわくわくしなかったのではないか。母親になるとはそういうことなのだ。でも違った楽しみがあったではないか。我が子がどんな反応をするか、観察をすること。喜んでもらえれば一緒に嬉しくなって安堵すること。

連れていってよかった。