2015年10月21日水曜日

気分屋の子供達を支えるのは

今日はトゥットゥの保育園参観日だった。スケジュールはこうだ。

 登園
 室内遊び
 朝のおやつ
 時間排泄
 公園にお散歩
 公園で遊び
 保育園戻り
 手洗い
 昼食(親も一緒)
 解散


3日にわたって参観日は設けられ、私は中日の参加となった。同日参加者7名。前日、すでに他お母さんが参観日で参加していたので、トゥットゥにその日の晩に

「明日はお母さんが保育園に行くよ。」

と説明すると、にっこりと笑顔になった。わかっているようだった。朝の支度も心なしかウキウキした様子が見られた。

保育園に到着すると、やはり気分は上々だったようで、いつも預けるときに見せる少しだけ不安そうな顔、その場の仲間に入っていけるかなというような顔はなく、にこにこと左右にステップを踏んでいた。それを見て保育園の先生も

「トゥットゥちゃん今日はご機嫌だね。」

と声をかけてくれた。

とはいえトゥットゥはすぐにお友達の輪に入るでもなく、いろいろあるおもちゃに向かうでもなく、私の手を握って立ち尽くしていた。どうやら私と何で遊んだらよいか迷っているようだった。そこで先生が、

「ほら、いつもブロック、お母さんに見せてあげたら?」

と声をかけてくれたことでトゥットゥはブロックのある場所に私の手を引いて向かった。井桁ブロックで細長い箱をつくり、それを電車に見立てて、人形を乗せて遊ぶのが好きだと先生に説明を受けた。トゥットゥはまず井桁ブロックの箱から人型ブロックばかりを取り出した。お気に入りはピンクで、真っ先に取り出した。

電車なんてどうやってつくるのだろうと眺めていたら、先生がある程度土台を組み立てトゥットゥに渡した。するとその続きを黙々と作り始めた。

「こうやって遊び方を最初に示してあげるんです。そうしたらスムーズに遊べますよ。」

なるほど。トゥットゥがパズルやら紐通しやら、いろんなことができるようになって驚いていたが、こうやって先生の導きがあってできるようになったのだなと思うと、「プロ、すごいなあ。」と素直に思った。同時にもし自分が専業主婦だったら、試行錯誤で遊びを教えるんだろうな、その楽しみはないんだよな…と思うと、少し残念にも思った。





公園までは長い道のりだった。子供たちは手をつないで、きちんと統制されていた。いつもなら私の手を振りほどくトゥットゥですら、私の手を握り続けた。この素晴らしさに感動したことを先生に伝えると、

「1歳ごろから短い距離で訓練するんですよ。訓練の賜物です。」

とのことだった。一朝一夕にはこのようにはなれないのね。

公園ではかけっこをした。ヨーイドンで向かってくるトゥットゥの可愛いこと。えっちらおっちら、懸命に、キラキラした笑顔で向かってくるのだ。ただ走り方がいまいち…(笑) 運動会でわかっていたことなのだが。2月生まれのトゥットゥより月齢の低い子はいるが、おそらくクラスの中で一番走るのが下手なのではないかという体の使い方だった。私は運動神経はいいので、こんなはずでは…、とろりんちょはジェイジェイのDNAのせいだと思った。まあ可愛いからいいのだが。

次にお母さんたちのお尻に紐をつけ(ズボンやスカートに紐を捻じ込み)、それを子供たちが取るというゲームをやった。もちろんお母さんのしっぽを取りたいわが子たち。ところがそうは問屋が卸さない。他の子たちもしっぽを追ってやってくるのだ。総勢20名。とろりんちょのトゥっトゥが機敏なお友達の動きに勝てるわけもなく、私の紐を取ろうと目を輝かせて走り始めたとたんに、他の子とクラッシュ。二人とも転んで、トゥットゥは

「いたいーーーーッ」

と大泣きだった。私がトゥットゥを抱きしめて、相手の子に声をかけている間、他の子にしっぽを取られてゲーム終了。他の場所ではお母さんのしっぽを取る寸前に他の子に取られて大泣きしている子もいたりして、もう悲喜こもごも。なんだかこの状況がしみじみと平和で幸せに思えて笑えた。





また長い道のり手を引いて保育園に帰ると早速手洗い。自分で蛇口をひねり、自分でポンプの泡をつけて、上手に手を洗った。そしていつも持っていくミッフィーちゃんのタオルで手を拭いた。そしてそのタオルはすぐに自分の汚れ物袋に入れた。素晴らしい!

そしてごはん。最近、家ではなぜか自分でごはんを食べようとしなくなった。朝ごはんなどほとんど私に匙で食べさせてもらっている状況だった。家では甘えているのだろう。そう思った。保育園の連絡帳には常に「全食」(全ての食事を食べました)と印が付いているので、保育園の友達が食べるの見て、感化されてきっと一人でもりもり食べているのだろうと想像した。

配膳が終り、いよいよ食べる段階になると、親が参観に来ている子もそうでない子も一人で食べているのに、トゥットゥは食べようとしなかった。業を煮やして私が箸で彼女の口に運ぶとおいしそうに食べた。

「保育園では一人で食べられるんじゃないの? みんな一人で食べているよ。」

トゥットゥに耳打ちすると、彼女はにやりとわらって無言でなんとなく誤魔化した。結局私がほとんど食べさせた。「全食」、確かにね。周りを見るとそもそも食の細い子、好き嫌いの多い子などもいて、「全食」とはほど遠い子がいることがわかった。そしてトゥットゥよりも月齢が大きいのに、だらだらとしていて先生に食べさせてもらっている子もいた。わたしはピンときた。

気分だ。気分が乗らないのだ。

トゥットゥの場合は甘えもあるだろうが、家で自分で食べないのは気分が乗らないこともあるのではないか。今は食べなければならないと規律を持って振舞うことを求められるのは小学生ではないか。そうか、保育園で集団生活ができるということは、全員が規律を守ることができると同義ではない。やはり先生たちの努力、導きが気分屋の子供達を支えているということが改めてわかったのである。

保育園の先生、リスペクト。

そして家でも気分のムラがあるトゥットゥを責めてはいけないということもわかった。まだ幼いのだ。徐々にルールを教えていけばいい。