2015年10月3日土曜日

慎重派という個性(運動会)

2歳児の運動会。まだ学芸会のない2歳児は、実質運動会が1年間の成長の成果発表となる。去年の運動会ではもう赤ちゃんではないのだと感動したのを覚えている。(1歳の時の様子はこちら) さて今年はどんなことをやってくれるのか。プログラムを見ると、去年もあったかけっこと親子競技以外に、ダンスが入っているではないか! 事前にトゥットゥに「どんなダンスをするの?」と振っても、ニヤリと笑うだけで私の前ではやってくれようとはしなかった。

<スタンバイ>
さて本番の日。早朝、園庭にはすでに場所取りの親御さんたちがわんさと押し寄せていた。すでにレジャーシートを引き、カメラを構えている人たち。いつもは保育園とは関わらない遠方の祖父母など、すでに興奮に包まれた雰囲気であることはすぐに感じ取れ、私でも緊張した。いわんやトゥットゥをや。

トゥットゥを2歳児クラスの控え場所に送り届けるところから難儀した。私の元を離れようとしない。ベテラン先生が「みんな座っているよ。」と手をひっぱっても、その手を振りほどいて私にしがみつき頑と離れようとしない。やっぱり緊張ようだ。私がひざまずいて「ほら、○○くんも△△ちゃんももう来てるよ。」と指を差すと、「いつも」の面子がいることを知って少し安心したようで、先生に手を引かれて控え場所についた。やれやれ。


<開会式>
開会式。幼児クラス(3~5歳)は堂堂と行進して、乳児クラス(1~2歳)は両脇を複数の先生に挟まれて引率され、0歳児は母親に抱っこされて所定の場所についた。5歳児による開会宣言。やはりこの成長ぶりにはわが子でなくとも、人の親は感動するものである。

トゥットゥはというと硬い、表情が硬い。しかしこれは彼女だけでなく、他の2歳児クラスの子たちも緊張の面持ちだった。緊張がひどい子だと俯いて前も向こうとしなかった。

引き続き開会式と同じフォーメーションで、去年と同じく「ガンバリマン」の歌、そして「元気いちバンバン!」体操。ガンバリマンの歌なんて、去年からフルバージョンで歌って楽しませてくれていたのに、本番では口を真一文字に結んで歌わず。「元気いちバンバン!」体操の頃になると、少し緊張がほぐれてきたのか、少しだけ体を動かすようになった。しかしテンポがずれている…。少しトロリンチョなトゥットゥらしいといえば、らしい。


<かけっこ>
トゥットゥの次の出番はかけっこ。同じ月齢の子たちと並んで走るようだったが、普段の動きから見て一番ということはないだろうと予想はしていた。なぜなら走るフォームもまだまだ完全ではないから。いまだ、えっちらおっちらという具合なのである。ジェイジェイは「脇が閉まってない!」とアスリートのようなコメントをしていたのが笑えた。私は足が速かったので走ることに対して意識したことはなかったのだが、小学生時代を思い出してみると、運動が苦手な子の走り方ってそんな感じだったなという気がした。

そして結果はというと…案の定、ドベ。去年は「よーいドン」の合図がわからず、先に出てしまう、合図がかかってもしばらくじっとしているというものだったが、今年は合図はわかったものの出発が3秒くらい遅れるという失態。そもそも走る気はあるのか。そして走り出しても、やはりえっちら、おっちら。体の使い方のコツがまだわからないのだろう。まあ生まれつき活発、おてんばという形容詞は当てはまらない、なんでも慎重派のトゥットゥだ。これは彼女の個性だ。

運動ができるというのは、特に小学生時代を通して自尊心への直結という意味ではとても大切なものなのだが、誰もがかけっこ一番になれるわけではない。卑屈にならないようにうまく導けばいい。そんな未来のことまで考えてしまうトゥットゥのかけっこの様子だった。


<ダンス>
実はトゥットゥはダンスが好きで、保育園でも家でも音楽に合わせて変な動きをしている。変なというのは、それしか表現のしようがなく、決して優雅でも可愛いでもなく、変なのだ。それは保育園の先生たちもお墨付きで、夕方保育園に迎えに行くと、口を揃えて

「トゥットゥちゃん踊りが面白いのー! トゥットゥちゃん、お母さんの前で踊ってあげて!!」

と言われるのだ。確かにたまに夕方保育園で音楽に合わせて体を動かしている様子を見ることがあるだが、あのはじけっぷりはものすごいものだった。だから今回の運動会のダンスが一番楽しみで楽しみで仕方なかった。

今回のダンスはフルーツになりきって踊るというものだ。2歳児クラスの子たちは頭にフルーツの帽子を被り、そのフルーツと同じ色の腰みのをつけて登場。かわいい!!!

しかし彼女はまだ緊張していた。笑顔がない。無表情だ。緊張がほぐれてきた子はお母さんに手を振ったりしているのに。無表情で少しテンポがずれた状態で踊っている。あのはじけっぷりを知っている私はもどかしかった。全ては緊張のせいか。

緊張をしない人はいない。それゆえ緊張をよい刺激に変えて、パフォーマンスに反映する。大人になるうえで、自分を表現するために必要な技能だ。芸術的な表現はもちろんだが、仕事や試験にも当てはまる。私はそれを誰に習ったわけでもなく、やはり大人になるにつけ徐々に見につけてきたものだ。やはりたくさん本番を踏まなければならないのだろう。

成熟した人間になるにはまだまだ道のりは長い。彼女はまだ2歳8ヶ月。がんばれ。


<親子競技>
私が出る予定だったが、ジェイジェイが参加したそうでうずうずしている。本当にトゥットゥが好きなのね…。私も出たかったが、譲ってあげることにした。そしてゆっくり競技を鑑賞した。

お父さんが近くにきてようやく緊張がほぐれたようだった。入場行進で笑顔が見えた。そして競技ではお父さんと一緒に平均台をわたり、跳び箱への階段を上り、跳び箱から飛び降りる! …はずが、まだトゥットゥはジャンプができない。一旦ジェイジェイと手を繋いだまま飛び降りようとしたが、しっかりと後ろ向きになって片足ずつ足を下ろして慎重に降りた。ははは、トゥットゥらしい。

そして最後にぶどう狩り。なかなかぶどうを選ぼうとしない。そうこうしているうちに後続の子が迫ってきてしまった。仕方なく急いで選んだようだった。どこまでも慎重派。





こうして振り返ると、彼女の慎重派という個性が浮き彫りになった運動会だったと言える。成長とは人としての輪郭がしっかりしてくることなのだなということがわかった。来年はどんな個性を発見することができるだろうか。楽しみである。