11月の帰省では生後5ヶ月のゴッシュがいたため特段お出かけということもせず、地元の人の休日のように過ごした。今回の帰省の目的でもあるゴッシュとロミ父の対面であるが、二人の相性が良いのか、ゴッシュの生来の愛想の良さなのかはわからないが、とにかくゴッシュはおじいちゃんにはすんなりと懐き、膝の上でニコニコとよく笑った。いつも夕方のトゥットゥの風呂、食事、寝支度と言った一番世話の忙しい時間帯に、ひとり放って置かれて泣くことの多いゴッシュではあったが、この時ばかりはおじいちゃんの膝の上で心地良さそうにしていて助かったのは言うまでもない。
さてしっかり物ごごろのついたトゥットゥである。到着翌日、山のお大師様へお参りをしたのだが、その道中、全長5センチ程度のジョロウグモがいるわいるわ、見つける度に「虫!」と叫んで半泣きなのだがら、さすが都会っ子というべきか。別日に散歩に出かけてもやはり至る所にいるため散歩が進まない。蜘蛛は巣の上にいる限りこちらに飛んで来ることはないと諭すのだが、滞在最後まで慣れることはなかった。
一番大変だったのはトゥットゥの遊び相手がスポットではなく、毎日、常時となったことである。いつも日中は保育園で同級生や先生と交流しているが、保育園を休んでいる間、代わりをするのは親である。私もデコ母も最初は熱心に都会の東京ではできない体験をしようと働きかけた。
「どんぐり拾いをしようよ。たくさんあるよ。」
「草むらをふかふか踏んで歩こうよ。バッタを捕まえようよ。」
「チューリップを植えようよ。どんな色の花が咲くかな。」
「近所に犬を見に行こうよ。触らせてくれるってさ。」
「折り紙でお野菜折って上げるから、お店やさんごっこしようよ。」
しかし一通りやって見たものの彼女のお気には召さなかったらしい。
「ねえ、なんか面白いことないの?」
「おもちゃはないの?」
「次は何をすればいいの?」
結局彼女の楽しいものは、東京から持ち込んだタブレットで見るいつも動画だった。
そして滞在して一週間経つ頃、東京からジェイジェイとサチ母とエミィさんからテレビ電話がくるともうダメだった。
「早くお家(東京)に帰りたい!」
これには参ってしまった。私の都合だけでトゥットゥを慣れ親しんだ環境から二週間も離して辛い思いをさせた上に、孫にこんなことを言われてデコ母やロミ父もきっと悲しい気持ちになっただろう。この時ばかりは滞在をもっと短くすればよかったと悔やんだ。
その後デコ母はトゥットゥに文具やレゴブロック、けん玉などを買ってくれた。車で再び大きな公園や室内遊技場に連れて行ってくれた。トゥットゥは東京を忘れて楽しむことが増えた。そして東京に帰る直前、3度目となる大きな公園に行った。彼女が怖くて滑れなかった長い滑り台がデコ母の手を引いて滑れるまでになった。最初「恥ずかしい」と言って手を繋がなかったロミ父とも最後の日はしっかり手を繋いで写真を一緒に撮っていた。
トゥットゥも慣れれば楽しめるようになったのだ。どこかで壁を突破したのだろう。何か彼女の中で残ってくれることを祈って。