今現在、ゴッシュの使う言葉を紹介したい。
名詞
かーちゃん、とーちゃん、ばあちゃん、じいじ、トゥットゥ、先生、まんま、ジューチュ(ジュース)、ぎゅうぎゅう(牛乳)、チャッチャ(お茶)、花、ボーリュ(ボール)、アンパン、バイキン、シンカリオン、ブーブ(車輪)、電車、にゃんにゃん、わんわん、ガオー(大きな動物)、クチュ(靴)、キラキラ(星や電気)、ちっち(おしっこ)、ちんちん
形容詞、形容動詞、動詞
ないない(無い)、あーてーてー(開けて)、かーしーて(貸して)、ちょうだい、キレイキレイ、あっと(ありがとう)、ぉわっちゃった(録画番組が終わった)
その他(副詞とか)
どうぞ、はい、あ(や)ったー、なあに
ゴッシュ2歳の言葉はこんなところか。なんとなくキラキラ星の歌(キーヤーキーヤーひかるー♪)と、たんたん誕生日(タンタンタンタン、タンジョウビ♪)の歌と、シンカリオンの歌(はーしーれー、はーしーれー♪)を口ずさむくらいか。あとは「んッ」(要求)、「あーっ」(ダメ、嫌だ!)と身振りで会話しているのだから、人間の意思伝達とは言葉によらないのだなと感じる。
ようやく最近、会話に肯定の意味の「うん」が混じるようになり、会話をしているという感覚になった。「ごはん食べる?」「うん」「もう寝よう」「うん」
ゴッシュの一番好きな言葉は
「はな、キレイキレイね」
桜の花の季節に覚えたフレーズだ。彼を美しい言葉で満たしてあげたいと思った。
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誕生日当日はジェイジェイが上野のエキナカにあるブールミッシュでパンダのロールケーキを買ってきてくれて家族でささやかにお祝いをした。6月には新居のお披露目も兼ねて、サチ母、エミィさん、ティエティエ一家、ヤマナちゃんを呼んでゴッシュ誕生会を開いた。
大勢に囲まれてお祝いされたものの意味がわかったのかどうかは不明だ。誕生日ケーキの火を消すときは立派に「ふぅッ」と息を吹きかけていた。食事後は子供たちだけで遊ぶもあいかわらずトゥットゥとター君の遊び仲間には入れてもらえず、誕生日プレゼントでもらったプラレール常磐線を持って、周辺をうろうろしていた。
我が家のゴッシュへの誕生日プレゼントはベック社のクネクネバーンだ。近所の室内遊戯施設に行ったところ、このおもちゃを見つけた。リズミカルに落ちる車、木がカタカタ鳴る音に癒され、私自身が気に入ったのだ。ゴッシュも大変気に入ったようで、このおもちゃのてっぺんからありとあらゆるものを落とす実験を行っていた。四角いものも転がるのを面白がっていた。
ゴッシュはこのおもちゃで自分が転がしたものが上から下まで落ちきると
「ぷたぷた~ちっち♪」
と歌った。それは「ピタゴラスイッチ~♪」のメロディだった。彼にはこの玩具の動きが「ピタゴラスイッチ」のピタゴラ装置に見えるらしい。笑った。
最近ではボールやおもちゃを階段から落とすようになった。実際版のクネクネバーンか、ピタゴラスイッチに見立てているのか。落ちる様子を見て、きゃっきゃと笑っている。玩具と違うのは落ちたものが手元に戻ってこないところで、落ち切ってしまうと「あーっ、あーっ」と叫ぶ。その度に私が拾いに階下に行く。
拾ったものを手渡しながら、「いい加減止めてくれ、自分で拾いに行けるならやってもいいけどさー」と、まだ言葉の話せないゴッシュを叱るのだが、彼はにやにやしながらまた階下にボールを落とす。絶対私の言わんとしていることはわかっている、やつは。
★
ゴッシュは0歳クラスから1歳クラスに進級して休むことはなくなった。2歳を迎え、体が強くなったなと思っていた矢先である。
11日(月)。朝、保育園に預ける前にどことなく体がホットだなと思いつつ会社に向かおうと園の正門を出ようとした時、事務所から園長に呼び止められた。
「ゴッシュ君、お熱です。39度!」
なにい? 朝元気だったじゃないの。すぐに会社に行けないことを悟り、気持ちを切り替えてゴッシュを迎えにいった。熱特融のぼうっとした目をしていたが、やっぱりニコニコしている。
「お熱なんだって。おうちに帰ろうか。」
「あ(や)ったー!」
あまりの可愛さに脱力した。
朝から熱ということは、もし登園禁止の夏風邪(溶連菌、アデノウイルスなど)だったとしても、その日の検査では出ない。翌日熱が続くようなら病院だと思い、その日は二人で家でテレビを見ながらのんびりした。
Blu-rayの録画をリモコンで上から順送りにしていると、見たい番組を叫ぶ。そのほとんどが「シンカリオン!」「チッ!(ピタゴラスイッチ)」。たまに「パーシー!(機関車トーマス)」。トーマスじゃないんかい、と突っ込みつつ、「トーマス」という言葉を教えるのだが、彼にとってはあの人面機関車は全て「パーシー」らしい。笑える。
翌日12日(火)も38度超えの高熱。もちろん会社は休み。病院に行って検査するも何も出ず。原因不明の熱であった。熱以外は概ね元気なのだが、熱が37度5分を下回らないことには保育園には連れていけない。熱は上がったり下がったりを繰り返した。
14日(木)朝、熱は37度1分。平熱が36度2分くらいのゴッシュは37度超えは危険水域(保育園呼び出しの可能性高)なのだが、さすがに4日連続で休むのは仕事にも支障が出る。できればジェイジェイやサチ母に頼みたいところだが、ジェイジェイは客先での締め切り前のプロジェクト参加で無理である。サチ母は2月よりめまいがひどく本調子でないため頼めない。目をつぶって保育園に預けることにした。
予想通りというか、ゴッシュは3日も私と一緒にいたのだから、朝の別れがつらいに決まっている。大泣きした。そして大泣きしすぎてゲロした。保育園では嘔吐系の胃腸炎も流行っていたため、保育園の先生から「泣きすぎなのか、胃腸炎なのか区別がつかないのでお引き取りください」と言われる。ううッ。
「吐いちゃったね。おうち帰ろうか。」
「あ(や)ったー!」
再び脱力した。
初めて二人でスーパーマーケットに行った。通常は保育園帰りにベビーカーに乗せてトゥットゥと共に行くか、私一人で買い出しに行くことのだが、今回はベビーカー無し、自転車の後ろに乗せて行った。着いたらショッピングカートに乗せようと思ったが、彼は泣いてかぶりを振った。
仕方なく手を引いてお買い物。しかし手をつないでくれたままでいるはずもなく。彼はテテテと気になる商品に向かっていってはそれを手にとって「どうぞ」と言っては籠に入れた。「ありがとう」私はそういって棚に戻した。その繰り返し。
それが飽きると棚の配列を変えて、私に目配せをした。「見て見て」ということなのだろう。私は褒めてから元の場所に戻した。ゴッシュはずいぶん楽しそうだった。
休日のお出かけはどうしても物心ついたトゥットゥ優先となり、彼女の成長に合わせて遠出をするようになっていた。自然、ゴッシュのお昼寝時間と重なるため、彼は外出せずに私と留守番することが多かった。しかしこの休みで、初めてと言っていいくらい彼とゆっくり手をつないで外出することになった。彼は見るからに喜んでいた。
どうやら神様がくれた休日かもしれない。
私は残りがほとんどなくなった有給休暇を数えて、まあいいかという気分になった。