2015年7月12日日曜日

北海道初心者旅行

ジェイジェイと付き合うようになってから、毎年7月の海の日の連休にどこかしら旅行に行っている。そのため、4月頃だったか、今年もどこかに行こうということになった。トゥットゥが飛行機が無料である2歳のうちにということで、飛行機で行けるところ、2歳児でも楽しめるところと条件を絞っていき、自然と北海道ということになった。無論、目的地は旭山動物園である。

ところが海の日の連休はアホみたいに旅行代金が高かった。航空券+宿泊費+レンタカー代で大人二人で22万。は!? 外国に行けるんですけど。行き先選びは振り出しに戻った。

トゥットゥの好きなもの…富士急ハイランドのトーマスランドとか行ってみるか? そもそもジェイジェイはローラーコースター系の乗り物はNGではないか。幼児と乗り物NGの夫と富士急ハイランドに行っても意味がない。では私の好みで吉野(奈良)か熊野(和歌山)に行くか? ジェイジェイの好みで山城を訪ね歩くか。しかし幼児を連れての山道はきつい。ベビーカーが使えないだろうから全ての行軍(?)が抱っこかおんぶになる。ダメだ…。

結局、夫婦でぐるぐる考えた結果、5月の末にジェイジェイの出した結論。7月9日(木)~11(土)と、早めの夏休みをとって北海道に行くこと。これだと二人で12万くらい。旅行代理店を通して航空券、ホテル、レンタカーを押さえ、いざ出陣。今回は二泊三日の北海道旅行の様子をダラダラと書く。




7月9日(木)

<行きの交通機関>
羽田へ向かう時間が通勤ラッシュの終わりごろと重なってどうなることかと思ったが、東京上野ラインに乗ると意外と空いていた。浜松町からモノレールに乗って運河を見下ろす。トゥットゥは海鳥が川面を飛ぶのを見て、「とり、とり!」と興奮していた。

トゥットゥのいいところは公共機関では大人しいこと。飛行機ではりんごジュースを飲んで、機内誌を全てめくって、お父さんとじゃれて、飽きるとラムネを食べて…などしていると新千歳空港に到着。レンタカーの手続きをしていざ出発。

<ノーザンホースパーク>
13時半。最初は苫小牧のノーザンホースパークだ。競馬ファンなら必ず知っている社台グループの牧場だ。ここから車で20分の社台スタリオンステーションに、GⅠ馬のディープインパクトやジャスタウェイがいるのだ! 一般観光客は午前中にそれらの放牧の様子が見られる。それを知ったときは興奮したが、どう考えても旅行のタイムスケジュールにあわず諦めることに。そもそもトゥットゥのための旅行だろう。ここでは1周約5分の乗馬をトゥットゥと一緒に楽しみ(トゥットゥは私とジェイジェイの2回も乗った)、小さな柵に放たれたポニーや厩舎の馬を見学し、観光客に慣れた馬に触り、記念撮影をした。

イベントとしてはこれで終わりだが、意外とよかったのが敷地内にあるK's Gardenという庭だ。せせらぎのある小道を歩くだけで色とりどりの景色といい、心地よいバラの香りといい、気持ちよいものだった。ガーデン西の端まで歩くと、観光客もほとんどいなくなった。そこには放牧地が一面に見渡せる「馬見の丘」という展望台があった。そこに登って、ザ・北海道の景色を満喫。それも私たち家族だけで独り占めである。柵の近くまで行くと、はるか向こういいた馬の親子が寄ってきてくれる嬉しいハプニングもあり。またエゾリスも発見。これにはトゥットゥも驚いていた。



<ファーム富田>
15時前にノーザンホースパークを出て、17時過ぎに次の目的地のラベンダーで有名なファーム富田へ到着。パンフレットにはこの後、美瑛の四季彩の丘もモデルコースに組まれているのだが、そんなにいけるわけないじゃないか。これによりパンフレットで見るよりも、苫小牧-富良野間は距離が長いことがわかった。北海道、でかい…。

駐車場につくや否な、ラベンダーの香りに包まれ、THE富良野を実感。しかしトゥットゥは文字通り花より団子。ラベンダーソフトクリーム一人前をペロリ。ラベンダー畑の向こうに浮かぶ夕張メロンのアドバルーンに興味を示し、「メロンのふうせんのところに行く!」と勇ましい足取り。ラベンダー畑の要所要所で写真を撮り、お店に寄り道しながら向かう。ところがメロンの風船の真下に着く頃には、お店の閉店時刻18時近くとなり、それは片付けられてしまっていた。あまりにトゥットゥが「メロン、メロン」と騒ぐので、「本物のメロンを食べるか?」と聞くと、「たべる!」言うではないか。ファーム売店にある一切れ200円の夕張メロンを食べさせてみた。しかし妙な顔をしたきり、「もういらない」と一言。ああ、そうだった。去年もメロンがダメだったし、すいか苦手だものね。ウリ系がダメなタイプ。


<ジンギスカン大黒屋>
この後、旭川のホテルに向かう。到着は19時頃。荷物を部屋に置くと、ジェイジェイが調べてくれていたジンギスカン屋に向かう。正直、私は羊肉はあまり好きではなく乗り気ではなかった。長旅の疲れ、そして思ったよりも冷え込む北海道の夜、そんな中、ホテルから1Kmは歩かされるとあって、若干不機嫌だった。しかしその不機嫌はジンギスカンを食べたら吹っ飛ぶことになる。

ジンギスカン大黒屋5丁目支店)。私たちが着いた頃には2組がすでに待っていたが、10分ほどで通される。クーポンを使った1人前セットで1800円。持ってこられた肉のボリュームに驚く。「両面を軽く焼いてください。中が赤くても食べられます。」 新鮮な証拠なのだろう。食べると牛肉にはないさっぱりとした旨味が口に広がり、驚いた。豚よりも明らかにジューシーであるが、こってりはしていないのである。気に入った! トゥットゥには、子供用茶碗にご飯を盛って、ちぎったラム肉を載せてジンギスカン丼。トゥットゥは喰らっていた。文字通りの姿。よほどおいしかったのだろう。また行きたいところである。お店を出る頃(20時半過ぎ)には、どう見ても10組以上のお客が外で待っていた。評判どおりの店であると実感した




7月10日(金)

<旭山動物園>
今回の旅行メインの旭山動物園へ。東門近くの無料の駐車場に止めいざ出陣。この日は朝から暑かった。30度。北海道で30度? 直接日のあたる首の後ろがジリジリと痛い。日傘が必須である。旭山動物園は傾斜地にあり、東門が一番高いところにあった。この動物園を印象付けたシロクマやアザラシ、ペンギンなどは西門側。東門からは一番遠い。なおこちらは有料駐車場とのこと。商売上手だな。

ジェイジェイはトゥットゥのためにと10時半のこども牧場のうさぎふれあいタイムを狙っていた。それって上野動物園でもできるのでは…と野暮なことは言わない。ジェイジェイのトゥットゥ愛に心打たれ、喜んで付き合うことにした。うさぎを触る時間はほんの30秒くらい。動物の顔を見ずに背中を撫でるので、トゥットゥはうさぎとわかったかどうか。それよりも平均台のような鉄筋の上でエサを食べているヤギに夢中。さすが山岳地帯の生き物だなと、私もこの展示方法に感銘を受ける。



さて一番有名なアザラシは2回ほど筒のトンネルを通ってくれたか。あっと言う間で、写真に収める暇もなく。シロクマについて、「アザラシの気持ちになって覗いてみようコーナー(氷上に顔を出すように見ることができる)」では、暑さの中のしのし歩くシロクマが見られて面白かった。ただこの姿を見た直後から、この暑さでシロクマも隅のほうの陰でジッとしていた。ラッキーだったのかもしれない。トゥットゥは生協のシロクママスコットの「トドックベンチ」に気をとられていた。そんなもんか。

旭山動物園ではトゥットゥは建物内は歩くものの、屋外では一歩も歩こうとせず、全部お父さん抱っこだった。ベビーカーを持っていく提案を拒んだジェイジェイに全てその負担が行くことに。坂道、炎天下。ジェイジェイもほとほと参ったようだった。キリン、カバ、トラ、ヒグマなど様々な動物を一通り見て、東門に戻ってきたときに現れたチンパンジーの森。なぜかこのモニュメントにトゥットゥは引かれたようで、公園の乗り物のようにしてまたがって遊んでいた。動物、なんだったのだろう…。子供とはえてしてこんなものであろう…。


<雪の美術館>
お昼は食べぬまま、旭川市内の雪の美術館に向かう。「アナと雪の女王」が大好きなトゥットゥは雪の結晶を見るたびに「ありのままの!」と興奮する。そのため、雪の結晶のモチーフがふんだんに使われた室内写真を見てジェイジェイが連れていこうと考えたのだった。愛だなあ(‐ω‐)。今調べると、すでに去年からそのような紹介もあるみたいだ。

トゥットゥは車の中で昼寝をしていたが、雪の美術館に行くためにベビーカーに乗せ替えると起きた。何の施設かはわかっていない様子。そこで私たち親はトゥットゥの気持ちを盛り上げるために

「これはエルサ(「アナと雪の女王」)のお城だよ。」

と説明した。するととたんに目が輝き始めた。六角形の螺旋階段を下りていき、氷の回廊を通過する辺りから、彼女にとってどんどん真実味を帯び始めたようだ。

「こおりだね!エルサだね!」

そして結晶の写真をちりばめた部屋に入ると確信に変わった。

「エルサはでてくるの?」


嘘をついてしまったことを猛烈に後悔した。ジェイジェイは真顔で

「エルサはお仕事に行っている。だから今このお城にはいない。」

と説明した。トゥットゥは残念そうだった。ステキなカフェレストランで遅い昼食を食べると、そこに座っている間も、子供椅子から身を乗り出して、入り口を見ては

「エルサ、でてくるかなあ?」

と言い続けた。不憫…。私はお土産ショップで氷の結晶モチーフの何かを探した。子供の玩具で結晶が先端についたスティックがあった。これにしよう。そそくさと買って、トゥットゥに見せた。

「これは、エルサが『今日会えなくてごめんね』って言って、その代わりトゥットゥに渡すように言われたお土産だよ。」

「エルサ棒」と名づけたそれを手にした瞬間からトゥットゥは振り回し続けた。

「まほうがつかえるかなあ。こどもはつかえないの?」
「修行したら使えるかもね。」
「おかあさんはおとなだからつかえるの?」
「おかあさんは年だから魔法の力を失った。」

このような嘘をつくのも今のうちだろう。本当に可愛い。ジェイジェイがここに連れていってくれてよかった。

さて雪の美術館と同じ敷地内(広大な)には、二つの美術館があった。国際染色美術館、優佳良織工芸館。こちらの共通券を買ったものの、雪の美術館でのトゥットゥとのやりとりでお腹いっぱいになった私達は「共通券はなくてもよかったよね…」と疲れた顔で言い買った。しかしせっかくなので力を振り絞って鑑賞することに。

結果、力を振り絞ってよかったと思った。私はテキスタイル(というか模様)が好きなのだった。両方布にまつわる美術館だったのだ。特に優佳良織を見ていると北海道の自然を表現した美しい色彩にどんどん元気をもらい、サチ母に、デコ母に、自分のうちにとこの織物のお土産を買い込んでしまった。本当ならテーブルセンタークロスなど欲しいところであったが、優に1万円を越えるので予算オーバー。今度はお金を心づもりしていき、ショールなどがほしい。


<和ごころ 桜彩>
札幌につくとすぐに晩御飯。ジェイジェイが北海道ならではの新鮮な魚介類を食べたいと言って予め調べておいた場所は、ホテルから歩いて10分以上はありそうな場所だった。運転で疲れていたジェイジェイは、昨日旭川でホテルから距離があると機嫌が悪くなった私のこともあり、ホテルの近くにしようかと提案をしてきた。ホテルのフロントで聞くと、すぐにお勧めのお店を教えてくれた。

居酒屋か。幼児連れでも大丈夫なのか? 到着すると歌舞伎町でよく見るような小さな雑居ビル。不信感が募ったが、お店に入るとさすがホテルが紹介してくれるだけあって、こぎれいで、子供もOK。そして予約でいっぱいのようであったが、8時半くらいまでならと席を融通してくれた。ありがたい。

そして海産物がうまかった。お世辞抜きで。ジェイジェイも気に入って次々に注文。結局大人二人で1万円近く使ってしまった。


7月11日(土)

<ベッセルイン札幌中島公園>
泊まったホテルの名前。ホテル自体は快適、グレードアップまでしてくれて、広いお風呂の部屋に泊まることができた。サービスについて何も文句のつけようもないのだが、特筆すべきは朝ごはん。これについて書いておきたい。

朝食はバイキング。これについては大概どこのホテルもそうなので目新しいものではない。が、ここではなぜか、いくらやとびこや松前漬け、イカそうめんが揃っていて、朝から豪華な海鮮丼が食べられるのである。そして温野菜が並んでいて、順に取っていくとスープカレーができる仕組み。うまい、うますぎる。パン好きな私は、チョコとクリームが好きなトゥットゥと一緒に焼きたてのパンもほおばる。ジェイジェイも私ももう昼ごはんは不要というくらいここでしっかり食べてしまったのは言うまでもない。


<白い恋人パーク>
当初の予定では小樽に行って、白い恋人パークに行ってと盛りだくさんの予定であったが、子供連れではそんなに機動力は出ないことがこの2日間でわかり、急遽白い恋人パークのみに変更。会社の同僚が「あそこ、面白いですよ!」とお勧めだったのと、お土産に白い恋人を買いたかったので行ってみることにした。完全に私の都合である。

ところが行ってみると、トゥットゥのように小さな子がときめく仕掛けがたくさんだった。まるでメルヘンの世界、ディズニーランドの小型版といったところであろうか。からくり時計塔に、お菓子の家のオブジェやその周囲を回る観光機関車、子供たちが入って遊べる小さな家がたくさんあり、花々が美しく咲き乱れる庭は格別であった。トゥットゥは一番最初に入った小さな家に流しと蛇口があったため、違う家に入っては

「すいどうがないね。」

とチェック。クラシアンの社員か、君は。とにかく飽きずに延々と小さな家に入っては、私達相手にままごとをやっていた。


有料の施設は白い恋人の工場見学。せっかくだからと工場見学も行った。チケットと一緒に1枚ラングドシャークッキーをもらった。チョコレートにまつわるアンティークなものの展示。そして最後に工場。どんどん流れてくるクッキー。あっと言う間に包装されるクッキー。すごい、オートメーション! やっぱり大人の社会見学はこうでなくては。工場は面白かった。

機関車弁慶号乗車、12時の時計塔イベント、キャンディーの作成の実演、キャンディ自販機、ソフトクリーム、余すところなく楽しんだ。肝心のお土産「白い恋人」は…、この日の札幌は30度の猛暑で
、ラングドシャーのホワイトチョコが溶け出すという理由から、空港で買うことに。そう、白い恋人は北海道であればどこでも置いてあるのである。


<札幌市内>
札幌らしいものを体験しておこうと、旧庁舎、時計台を見る。街が碁盤目で区画が大きく、道も広く、こんなに美しい都市は見たことがなかった。とても気に入った。他にも札幌駅、大通り公園、テレビ塔などブラブラしてみたかったが、午前中の白い恋人パークではじけすぎたのと、あまりの暑さに北海道に裏切られた気持ちになり(自分の中では27度くらいのつもりでいた。それが30度とは!)、それ以上は歩かずに、そそくさと車に乗って、羊ヶ丘展望台に向かった。

羊ヶ丘展望台から札幌市内を見下ろすと、いよいよ北海道最後という気持ちが大きくなり、寂しくなってきた。トゥットゥは柵の向こうの羊を見たり、鐘を鳴らしたり、ラベンダー畑に突っ込んでいったり、併設チャペルの結婚式を見たり、噴水を見たりと、それなりに楽しんだようである。札幌市内は3日くらい滞在して、いろいろと歩き回りたいところである。


<帰りの交通機関>
新千歳空港では帰りの客とバッティング。19時の飛行機に乗るのに、16時半に荷物を預けに行くと、手続きが終わるまでに30分もかかってしまった。それからラーメン道場の一角、梅光庵で夕食。こちらもなぜかインド人らしき御一行(10名以上)のオーダーとサーブに手間取り、すぐに食べられると思いきや15分ならび、席について15分待つという予想外の事態に。19時がフライトだというのに、食べ始めが18時20分ってどういうこと??? 18時35分にはお店を出て急いで飛行機へ。

こんな調子なのでくに味を覚えていない。ただトゥットゥが私の椀から取り分けたラーメンを汁まで完食していたので、美味しかったのであろう。大人顔負け。

帰りの飛行機もおとなしくしてくれていたが、退屈になって前の人の椅子をけることをはじめたときには焦った。前の席の上品な老婦人が振り返ったので頭を下げた。しかし彼女は椅子の隙間からトゥットゥを何度も見てにっこり微笑み、「かわいいわねぇ」と声をかけてくれた。椅子を蹴ったのにありがたきお言葉。しかしここでも男の子に間違われていた。仕方ないか。白いTシャツにズボン、ショートカットだものね。