2016年2月11日木曜日

ブルーボトルコーヒー

2月11日。休日とあって、家族でお出かけ(イベント)好きなジェイジェイが前日からそわそわし始めた。

「ねえ、トゥットゥ、清澄庭園に行く?」

なぜ清澄庭園なのだ? 私は独身時代から東京都現代美術館のあるあのエリアは慣れ親しんでいるのだが、美術館ならともかく、なぜ子連れで日本庭園なのだ?

ジェイジェイに疑問をぶつけると、詳しいことはわからなかったが、どうやら単純にトゥットゥとどこかの公園に遊びにいきたくて、インターネット検索をしたらステキな公園がひっかかったようなノリであった。大人にとってはステキな公園だが、はたして3歳児はどうだろうか? SLや遊具のある飛鳥山公園のほうがいいのではないか。

ただすぐに自分の都合が頭をよぎった。ジェイジェイに提案した。

「ねえ、だったら清澄白河にあるブルーボトルコーヒーにも行ってみたい。」

このコーヒー屋、スターバックスなどのシアトル系カフェに続く、コーヒーのサードウェーブの勇(?)と言われていて大変話題になっていた。コーヒー好きとしては話題づくりに足を運んでみたい。ジェイジェイも大好きな「ガイアの夜明け」で見たとあって、大いに乗り気となった。

完全に大人都合の休日。トゥットゥ、ごめん。





私の心配は杞憂に終わった。トゥットゥを現地に連れていくと大いにノリノリであった。清澄庭園では大人顔負けで

「ステキなこうえんだねぇ」

という感想を連発。置石や橋を渡るときは楽しそうにした。そして東屋を小さなおうちに、私達をお客さんに見立てて、ままごと遊びをした。公園を後にするときは名残惜しそうにした。

親子3人でブルーボトルコーヒーに歩いて向かいながら、そこで軽食をしようなんて話していたのだが、13時半頃、店につくとまだまだ話題のようで長蛇の列ができ、警備員がお客さんをさばいていた。店内も座席が高く、子連れでゆっくりできる雰囲気ではない。せっかくだからと外で待つことにした。

待つこと20分。店内に入ると、若い店員さんたちがビーカーのような大きな容器に一つ一つハンドドリップで入れているパフォーマンスが見られて期待が高まった。しかし注文の段階で価格表を見るとコーヒーが高価すぎて、何か崖から突き落とされたような気持ちになった。ハワイコナはストレートで1000円超えだ。パフォーマンスをちらと見るとコーヒーの量も多すぎである。自分のタンブラーで買いにきて職場に持ち帰るスタイル推奨なのかもしれない。

私はグァテマラのブレンド、ジェイジェイはグァテマラのストレート、そしてトゥットゥはカフェオレを注文。子供だからといって私は容赦はしない。なぜなら彼女は家で私の淹れるブレンドコーヒーのあまりに砂糖と牛乳を注いだものをコーヒー牛乳として好んで飲むためだ。必ず私がコーヒーを飲むとご相伴に預かろうとするコーヒー好きなのである。

商品を手渡されて少し待っていると外のベンチが空いたため、そこに腰掛けて家族3人で飲んだ。グァテマラはストレートであればあるほど、果実香が強く酸味の強いキレのよい味。私は華やかな香りは好きだけれど、味はもっとやわらかいほうがいいかな。そしてトゥットゥはというと、淹れ立てで熱いために私がせっせと匙で飲ませることに。子供好きそうな警備員のおじさんに「美味しいかい?」と声をかけてもらいつつ、三分の一は飲んだだろうか。美味しかったのであろう。

驚いたのはトゥットゥの飲んだ量以上に、その効き目であった。トゥットゥは午前中は歩き回り、あきらかに昼寝の時間で寝落ちをしてもいいにもかかわらず、ものすごく陽気でハイテンションなのである。ジェイジェイと顔を見合わせて

「これ、カフェインのせいだよね…」

なんだか恐ろしくなってしまった。(これを書きながら、子供とカフェインについて調べてしまった) ただ自宅の最寄駅に着く頃には、電池が切れたように寝落ちして、いつものトゥットゥで安心した。




こうして体験してみると、世の中で騒いでいることと、自分の感度の差がわかって面白い。なんか既視感があるなあと思っていたら、ハンドドリップにしろ、パフォーマンスにしろ、なんのことはない日本の喫茶店と同じなのである。

店内がオレンジの暖かな電球色に包まれた地下室のような空間に静かに佇むマスター、一方で日差しの降り注ぐような明るくて天井が高い空間にきびきび動くフレッシュなスタッフ。結局イメージの仕掛け方(売り方)なのであろう。イメージ戦略としては私は都会的で清潔感があっていいと思った。(ただ私は喫茶店の修道院を思わせるような暗い感じを愛している。乃木坂のカフェ・ド・ラペななどが好きだ。)

味について言えば、近所の喫茶店でいいかな、もっと言うなら私が利用している炒り立て・引き立てのカメヤマ珈琲の粉で自宅で淹れたほうが好みの感じだった。結局コーヒーの旨さは焙煎の腕が一番モノを言うのである。そこの主人が書いているブルーボトルコーヒーについてのブログ記事もあるのでぜひ読んでもらいたい。

こういう体験ができて、お出かけ好きのジェイジェイに感謝。