ブルーボトルコーヒー初体験明け、2月12日の朝。ジェイジェイが一言。
「子供ってすごい発熱しながら寝るんだねー。」
子供は体温が高いからね。それくらいにしか思わなかった。しかし起床したトゥットゥをおはようとハグするととなんとなく熱い。発熱しているという表現がぴったりだ。
保育園の連絡帳に体温を書かなければならないのだが、いつもオデコに手をあてて、「うーん。36.3度」と適当に書いていたのだが、確かにオデコに手を当てるといつもより熱い。体温を測ってみると37度。トゥットゥの様子は熱っぽいだけで、元気そうではある。
保育園登園の経験上、預ける時に37度くらいまでは大目に見てもらえる(ただし37度5分超えると電話がかかってくる)のだが、それは1歳児の不安定な体調の頃の話である。とんと熱を出さなくなったトゥットゥの37度は明らかに非常事態だと思った。これから熱が上がりそうな予感だ。大事を取って保育園を休ませることにした。私も会社を休むことにした。
昨日の清澄白河のお出かけで無理させすぎたかなと反省をしたが、ふと会社でも保育園でもインフルエンザが発生していることを思い出した。熱が上がるようだとその可能性もある。
トゥットゥの熱は10時くらいに一旦36度8分ぐらいに下がり、杞憂に終わったかと安心したのもつかの間、お昼寝から目覚めると38度0分。トゥットゥのほっぺたが真っ赤になっていた。急いで病院に連れていくも熱が出て一日目。小児科医には、まだインフルエンザウィルスが検出されないかもしれないから、明日も熱が続くようなら病院に来るようにと言われた。
予想はしていたが、翌日も熱は下がらず、結局、病院に連れていくことになった。長い綿棒を鼻の穴につっこんでインフルエンザ検査。トゥットゥは大泣きした。
「はい、インフルエンザA型ね。タミフル飲んでね。」
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去年、インフルエンザの予防接種を誓ったはずなのに。特に今年は私が妊娠している。だからこそ家族みんなでインフルエンザの予防接種を打たなければならないはずだったのに。しかしそこには私のインフルエンザ予防接種不信があった。
不信原因の一つはよく言われる予防接種のウィルスの型が外れるというもの。現にトゥットゥがかかった丁度同じ頃、会社の年配女性が予防接種を打っているにも関わらず、A型に罹患していたのだ。しかもその方は毎年予防接種を打っていて、いままでインフルエンザにかかったことがないと自慢していた方だった。今年は外れだと思っても仕方ない。
同じ頃長野県松本市の40歳看護師が予防接種を打っていたにも関わらず、患者からインフルエンザをもらい、インフルエンザ脳症となって亡くなったことを知った(ニュースはこちら)。こうした「予防接種が効かない」という情報が蓄積されていくと、打っても無駄と思ってしまうのは仕方ないことなのではないか。
自分に限って言えば、小学生で6回予防接種を打ったにもかかわらず、中学生・高校生で各1回ずつインフルエンザで休み、社会人になって3回インフルエンザをやった。抗体を作っても、ウイルスのほうが一枚上手であれば、いたちごっこである。であれば有料予防接種でバズレ型の抗体を作るよりも、何回か自分で本当に流行ったウイルスに罹患して抗体作ったほうが、優秀な抗体なのではないかと素人考えで思ってしまう。
そしてもう一つは前のBlogでも書いた育育児典のインフルエンザの項での知識。そしてそれを補強するかのようなカナダの友人の情報、カナダにおけるインフルエンザの扱いを知ったことである。カナダではひどい風邪という範疇で、タミフルも特に処方されずに自力で治るのを待つそうである。そうなってくると日本におけるインフルエンザ予防接種は厚労省や製薬会社、医者の利権のためにキャンペーンに熱心なんじゃないのかと勘ぐってしまう。
一方で、東海地方の6歳女児がインフルエンザ脳症となって脳死となってしまい、家族が臓器移植を決めたことを知った(ニュースはこちら)。私が家族でもし予防接種を打っていなかったのならば「打っておけばよかった。」と後悔する違いない。
毎年気持ちは揺れ動いてしまう。答えはない。結局人間として自然とどう折り合いをつけるか。その生き方の問題なのであろう。
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トゥットゥは最近では薬を飲むには、チョコレートアイスクリームに混ぜて食べると決めていた。トゥットゥはおやつの中でも群をぬいてチョコレートが大好きで、ほぼ毎日一かけらずつ食べていた。ケーキを選ぶにしても、白い生クリームのケーキではない。真っ先にチョコレートケーキを選ぶのだ。苦い大人の味でもへっちゃらで一つペロリと食べる。それがさらに大好きなアイスクリームとなると、お薬が混ざっているといっても全く問題ない。
私はレディーボーデンを買ってきて、朝、晩とタミフル入りのチョコレートアイスを与えた。タミフルをきちんと飲むトゥットゥは12日(金)にはぐったりしていたのが、14日(日)にはすっかり熱もさがりピンピンしていた。この日、朝起きて第一声は
「さ、きょうはどこのこうえん、いこうか。」
である。
「だいぶよくなったとはいえ、トゥットゥは病気だからお外にはいけないのよ。」
「じゃあさ、あおいすべりだいのあるちいさなこうえんはどうかな?」
大きな公園ではダメだと思ったのだろう。交渉するようになったとは天晴れである。
またこの日はバレンタインデーと重なった。実は先週、予め近所のケーキ屋でジェイジェイ用にチョコレートを買って準備していた。私からはフォンダンショコラ、トゥットゥからは動物型のチョコレート。それをジェイジェイに渡すと、やさしいジェイジェイはチョコレートを独り占めしないで私たちにおすそ分けをくれた。毎日の薬入りではあるがチョコレートアイスクリームが食べられる上に、ジェイジェイに美味しい高級チョコレートをおすそ分けしてもらったのだ。トゥットゥが喜ばないではいられようか。
このようにトゥットゥは14日(日)にはかなり元気になったとはいえ、インフルエンザの場合は熱が下がって3日間は登園できない。私とジェイジェイは交互に会社の有休休暇を取って彼女に付き添うことにした。ジェイジェイの付き添いの16日(火)。
「トゥットゥはね、チョコレートドーナツがたべたいの。」
「どこで売っているの?」
「セブン(セブンイレブン)。」
ジェイジェイはこの会話の可愛さに免じて、近所のセブンにトゥットゥを連れ出し、一緒にチョコレートドーナツを食べたという。
保育園登園再開の18日(木)。
「さあ保育園だよ。お友達に会えるね。楽しみだね!」
と私達はけしかけたが、トゥットゥは残念そうに
「きょうもほいくえんおやすみなの?おやすみがいい。」
とぽつりと言った。本人にとってはお父さんとお母さんとべったりいることができた楽しいチョコレートデイズだったに違いない。脳症や熱痙攣など大事にいたらなくて本当によかった。