2016年8月4日木曜日

忍者の末裔と会談

一本のショートメールが来た。今時ショートメールなんて珍しい。アテがあった。

「会いませんか?」

と書かれたメールの差出人は、我らアラフォー組と言って授乳室で仲良くなった女性だった。

授乳しながら話していると、彼女は甲賀忍者の末裔であることがわかった。旧姓がいわゆる望月やら山中やら甲賀忍者の代表苗字だったので、ミーハー心でもしかして忍者の末裔かと振ると、「なんで知ってるの?」と相手も嬉しそうに驚いた。まじか!

それ以上に驚いたのは、目の前で抱っこされた子が三人目の子供であること。三人の子持ちなんて落ちついた容姿からは想像できなかった。事実彼女は華やかなオフィス街勤務らしい。実家が東京ならいざ知らず、この東京で三人の子育てをしようというのだからパワフルなのだろう。加えて、上二人は産後うつに悩まされたが、それでも三人目をもうけたというのだから脱帽だ。

約2か月ぶりに会うと、授乳室での睡眠不足のノーメイクでも想像できたが、やはりエレガントな雰囲気だった。そんな彼女は困っている人がいると放っておけない性格だと言った。特に公共の場に妊婦さんや子連れがいると率先してサポートするという。

電車で席を譲るのはもちろんだが、ベビーカーで立ち往生しているお母さんを見ると「手伝いますよ。」と言って荷物などを持ってあげる、小さな子供が泣いているとわざとお母さんに向かって「泣かせても大丈夫だよ」という笑顔を送るなど。

なんでみんなサポートしてくれないのかと私がつぶやくと、矢のように答えが返ってきた。

「みんな健康だからだよ。弱者にならないとわからないの。」

そんな彼女は産前産後、腰痛で苦しんだ。それは痛み以上にメンタルにダメージをもたらし、子育てに大きく影響したという。だからこそ自分が味わったその苦を他人から少しでも取り除いてあげたいと笑顔で言った。

彼女と出会えてよかった。あっと言う間の2時間の会談だった。