が、義母が好きであること、泊まりが面倒であることは別問題だ。ジェイジェイにとっては実家に帰る、下着もパジャマも洋服も準備されているのだから身ひとつで行けばいい。しかし私は1泊とはいえそれらは全部持参である。他にも化粧品、歯ブラシ、髪の毛を梳くブラシなどの身繕い品、家族とはいえお世話になるのだからお土産、御仏前のお菓子、もしくは包んだお金。そして今までになかったトゥットゥの身支度一式。服以外にも子供用ブラシ、ボディミルク、乾燥肌用の軟膏、便秘対策の薬。ああ、今回は私の女性の月のものへの準備もあった。なんて準備するものが多いんだ!
でもサチ母も私たちを歓迎するためにいろいろな手間を惜しまず準備をしてくれているではないか。これくらいなんだ。私は私に発破をかける。朝いちで荷造りをする。そしてジェイジェイにトゥットゥを預け、近所の和菓子屋でお彼岸用おはぎを買い、洋菓子屋ではいつもトゥットゥと遊んでくれるジェイジェイ従姪にマドレーヌ詰め合わせを買い、スーパーではサチ母が気に入った仙台赤味噌を近所ので買った。思ったより時間がかかった。走って帰ってきたため暑い。中に来ていたインナーを一枚脱いだ。
さて出発だ。忙しい私をよそに先ほどまで録画番組を見ていたジェイジェイはのらりと立ち上がり、トゥットゥに上着を着せ、靴下と靴を履かせ、ベビーカーに載せて玄関を出る。電気確認、火の元確認、戸締り確認。ジェイジェイを追ってエレベーターに乗り込むと、トゥットゥ用の軟膏と私の整髪料とブラシを忘れていることに気付いた。急いで家に戻ってカバンに詰め込む。約束の時間にサチ母の家に着くには20分くらい遅刻しそうな感じだった。
そうして電車をホームで待っている時気付いた。寒い。寒いぞ。さっきインナーを一枚脱いだからか。違う、ストールを忘れたのだ。首元が寒い。そしてジェイジェイが言う。「さっき行ってしまった電車に乗らないとダメだったんだよね。次の電車に乗っても乗り換え接続が悪いから、もう一本待つよ。」 目の前の電車を見過ごした。サチ母の家に行くには電車の本数が少ないことを失念していた。完全なる遅刻。私は怒りの感情が沸きあがった。
「だから泊まりは面倒なんだよ!」
何に腹を立てているのか。もちろん自分にである。準備に手間取り忘れ物をして遅刻の原因を作った自分。忘れ物をして寒く情けない思いをしている自分。ジェイジェイは何も悪くない。悪いとすれば私との状況の対比に使われてしまうこと。ジェイジェイは特に準備しなくてもよく、私に代わって私の準備をできるはずもなく、朝からトゥットゥの面倒を見ながら録画番組を見ていたことは全く問題ない。問題ないけれど、私だけ忙しいのが無性に腹が立ったのだ。こういうのを八つ当たりというのである。
私はジェイジェイの実家に行きたくないわけではないのだ。でもあの言葉だけならジェイジェイに「夫の実家に行きたくない、サチ母に会いたくない」と受け止められても仕方がない。自分の両親のことをそういう風に言われると傷つくように、ジェイジェイを傷つけたかもしれない。電車の窓から梅の花が見えた。ちょっと落ち着いたら?と言われているようだった。自分の小ささが情けなかった。
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サチ母も午前中は突然の来客や電話で昼ご飯の準備が押したようで、「遅れてきてくれてよかったわ。」と笑顔で言ってくれた。遅刻した申し訳なさが少しだけ解消された。トゥットゥを連れて彼岸の法会も終わり、お墓参りをして帰った。ジェイジェイを傷つけたかもしれないバツの悪さにいつも以上にサチ母の家では明るく振舞った。ジェイジェイ、ごめんなさい。
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トッゥトゥへの気付き
| 様子 | 電車では靴を脱がせて座席に立たせ窓のほうを向かせるのだが、はっと気付くと窓をベロベロなめていた。 |
| 体調 | 昨日に引き続き2うんち。まだ下痢気味。鼻水ががびがびに鼻回りについている。 |
| 食事 | お赤飯、お煮しめ、野菜スープ、蕪のそぼろ餡かけ、卵焼き。美味しいおばあちゃんの料理を堪能。 |