ジェイジェイは「トゥットゥを保育園に預けて歌舞伎に行こう!桟敷席取ろう!!」と言ってくれた。私たちは結婚前のデートではちょくちょく私の好きな歌舞伎に出かけた。それを思い出してくれたようで嬉しかった。私にとって最後の歌舞伎はトゥットゥがお腹にいる2013年1月の新春浅草歌舞伎だった。心が弾んだ。すぐに松竹のホームページで歌舞伎座の昼の部の空き座席を調べた。
しかしそうはうまく事は運ばないもので、すでに満席だった。平日だぜ?そんなに人気演目なのか?人気役者が出るのか…と見たら、昼の部の主な演目が「夏祭浪花鑑」、主演の団七九郎兵衛は海老蔵。お辰は玉三郎。そして脇は猿之助一門だ。中車(香川照之)も出るって。うわー、そりゃ見たいよ。そういえばその他大御所はどこに行った?と思ったら、夏の巡業に日本全国に出ているのだ。逆に今の東京公演の面子は夏ならではだ。ますます見たいと思った。
しかし私の「夏祭浪花鑑」のイメージは吉右衛門の団七九郎兵衛、仁左衛門の一寸徳兵衛、福助のお辰だ(H23.6月)。吉右衛門と仁左衛門コンビは大好きで、以前「極付幡随長兵衛」を見たのだが、そのまさに直近の歌舞伎観劇で海老蔵主演のものを見たのだ。長兵衛親分の実年齢やキレのよさなどはきっと海老蔵はぴったりだと思ったが、吉右衛門の醸し出す任侠には叶わなかった。肩透かしな印象だった。結局大御所のイメージを上書きすることはできなかった。今回も結果的には見なくてもよかったのかもしれない。
歌舞伎企画が流れてしまった代わりに何か他の舞台が見たいと思った。しかし昼間からやっている舞台など数が限られている。否応なしに選択肢に入ってきたのが劇団四季の演劇だった。会社の後輩が「ライオンキング、まじいいっすよー。」と熱く語っていたことを思い出した。「ライオンキング」を見てみるか。こうしてあっさりと代案が決まった。
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そして観劇の週。事態は急変した。トゥットゥが病気でそれどころではなかったのである。すでに快方に向かってはいたものの食欲がまだ戻らず保育園に預けるのは難しかった。仮に預けたとしても保育園で具合が悪くなり携帯電話で呼び出されでもしたら、観劇中は電話が繋がらず、会社に電話されてしまう。そうすると私が夏休みを取っていることが保育園にばれてしまう。病みあがりの子を保育園に預けて親が息抜きをしている。それはどう考えてもよくないことであった。
そこで22日(火)、23日(水)と泊まりでトゥットゥの面倒を見てもらったサチ母に、お礼の意味も込めてチケットを譲ることにした。息子のジェイジェイと行くのも悪くないだろう。それに私自身トゥットゥがこんな状態では正直演劇を楽しめるとは思えなかった。なにより3日連続でトゥットゥを義母に預けている自分が居心地が悪かった。
23日(水)にサチ母に打診してみた。案の定断られた。
「ジャッキーさん、楽しみにしていたんでしょ。行ってらっしゃい。私がトゥットゥを見ていてあげるから。」
そう言われると想定して、ジェイジェイにも説得をお願いした。どんなにお願いをしても固辞された。当日の出発ぎりぎりまで説得を粘った。しかしやはり私が観劇に行くことになってしまった。サチ母にはますます頭が上がらなくなった。
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さて「ライオンキング」。実はディズニー映画の「ライオンキング」が公開になった当時、すごくディズニーにはまっていて「ライオンキング」も擦り切れるほどDVDを見た。映画から書き起こされた小説も読んだ。だからどんな話かも覚えていた。だからストーリー的には今更な感じはあったが、あれをどう舞台演出するのか知りたかった。
歌舞伎で慣れている横長の舞台が基準のせいか、浜松町にある劇団四季の舞台は意外と小さく思えた。それでも開演と同時に劇場の照明が落ち、すぐに舞台で朝焼けが輝き始め、ヒヒの長老のラフィキが歌い始め、通路を動物の役者たちが通って登場すると、一斉に自分の周りがアフリカになるのがすばらしかった。
衣装だったり演出のアイデアを一つ一つ見ていると、不遜にも自分でも思いつきそうだと思うのだが、役者の鍛えられた肉体から生まれる個々の表現が統制されて一つの世界を作り上げているのを見ると、本当に素晴らしいと思った。金を取っているだけあるわ…とロマンのないことを考えてしまった。
ただ比較するのが常に歌舞伎なので、生声、生鳴り物で行う歌舞伎にくらべ、つねにマイクを通して音が出てくるミュージカルの音量に慣れるのにしばらく時間がかかった。第2幕終わりくらいまで、「口パクと違うか?」と疑っていたくらいだった。
元「ライオンキング」好きとして思ったのが、少しだけ脚本のわかりにくいこと。まずライオンの王子シンバが自分が父親の死の責任を感じている説明。叔父のスカーに唆されて谷にやってきたせいでヌーの大移動に巻き込まれ、命を落としかける。そしてそれを助けようとした父親は死んでしまう。ゆえにこのまま群れに帰ることはできないと叔父に言われて、群れを追われてしまう。このやりとりで、幼いながらももっと父親の死の責任を強く感じる台詞があってもよかったのではないかと思った。
そしてテーマのサークル・オブ・ライフ。子供はわからないよね。最初に主人公のシンバが生まれてお披露目&祝福されたシーンと、最後にシンバが結婚して自分の子供がお披露目&祝福されたシーンを見ても。途中、それを理解するための父と子の会話がある。捕食する・される関係、やがてライオンも死に土に戻っていく、そしてそこには草が生え、それを草食動物が食べるという命の循環。ここで歌詞と同じ台詞を繰り返してもいいんのではと思った。それくらいしないと子供ぽかーんではないだろうか。
そもそも叔父のスカーが王座についてからというもの、メスライオンが命じられるまま狩を行い、結果、捕食動物がいなくなってしまったという設定も、ライオンはオス一頭に対しメスがハーレムを作ること、メスライオンがチームで狩をすること、というライオンの習性を知らないと、なぜメスライオンばかり働かせるのか、他のオスライオンは働かないのか?という疑問でお子様はハテナマークが浮かばないのかと心配になってしまった。私なら子供なら確実に浮かんでいる。予習が必要だ。
しかしロングランなので、たくさん改稿した脚本なのだろうから、現時点ではこれがベストなのだろうな。余計な心配であった。
二度目、ミュージカルに行くかというと…、機会があるなら歌舞伎を優先したいと思った。ゴメン。
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トゥットゥへの気付き
様子
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自分の写真を見ると「かーいー」と言う。可愛いという意味だ。一生懸命ジェイジェイが矯正しようとしている。「自分のことをかわいいって言うとお友達に嫌われるよ。」と。心配が先すぎる…。仕方なく私は「まあまあだね」という言葉を教えることにした。
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体調
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まだ痰のからむ咳をする。鼻水が出ている。
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食事
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ようやく煮麺とクリームパンを食べた。
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