「トゥットゥも、しんかんんせん、のりたいね~。」
と言うようになった。新幹線は彼女が大好きなのだ。
初めての新幹線デビューはゴールデンウィークなのだが、この時1歳3ヶ月。ほとんど記憶がないと思われる。それでもジェイジェイが買ってきてくれた電車の本では真っ先に新幹線のページを開いて「しんかんせん!」と指差しをして教えてくれた。日暮里の御殿橋トレインビュージアムに行けば新幹線を心待ちにした。クリスマスプレゼントにサチ母にプラレールの新幹線ベーシックセットをもらいますます身近になったようだった。
私は土曜日の朝ジェイジェイに報告した。いつものように土曜午前の家事をこなしていると、ジェイジェイは「東京駅に行こうか。」と言った。ああ、トゥットゥに間近で新幹線を見せたいのだなとピンときた。私も見たい! 山口の実家の近所に岩国錦帯橋空港ができてからというもの、新幹線はとんと利用しなくなった。それまでは実家に帰るといえば新幹線だった。新幹線から感じるのは旅情、そして郷愁だった。
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東京駅に着くとさあ、新幹線ホームに入ろうということになった。私は当然、東海道・山陽新幹線のつもりだった。なぜなら私が実家に帰るために乗る新幹線はのぞみ号だからだ。なんなら品川駅まで一駅乗るつもりでいた。ところがジェイジェイは違った。東北・上越・長野新幹線のホームを目指そうとした。私は思わず「え!?」と声を出してしまった。
ジェイジェイは私の違和感を感じ取ってくれたようで、「東海道山陽新幹線でもいいよ。」と言ってくれた。ただトゥットゥが日暮里、西日暮里、田端辺りで時々ライブで眺めているのは東北・上越・長野新幹線だ。プラレールはのぞみ号N700系なのだが…。ライブ仕様のほうがいいだろうという判断で東北・上越・長野新幹線のホームとなった。そうと決まればと、入場券を買おうとした時、ジェイジェイと「トゥットゥのために上野駅まで一駅乗ってみるか?」という話になり、切符自販機で価格を確認してからということになった。
ところがみどりの窓口から改札内の様子からまったくなじみのないない新幹線エリアに、最近の私の新幹線離れによりチケットの感覚が狂ってしまっていたのだろう。タッチパネルの「乗車券で清算する」のようなボタンがあり、それを特急券と間違えて押してしまったのだ。自分が使ったSuicaを入れると、山手線に乗り込んだ最初の乗車駅から東京駅までが一旦清算されて金額が引き落とされ、入場券に降車駅の上野までの乗車券付きで清算されてしまったのだ。清算金額が一人400円くらい。
これを私は特急券料金と間違えてしまった。「おお安い!」 自分の記憶では自分の山口の地元でこたま号で一駅乗っただけでも、もんげー料金を取られてしまったズラよ…ということを覚えていて、この安さに違和感を覚えていたものの、たかが東京-上野間、だからこんなに安いのだろうと自分を納得させた。そしてジェイジェイのSuicaで同じ手続きをした後に自分の過ちに気づいたのだった。
正しく特急券の手続きをすると、なんと特急券だけで大人2名1700円超え。一人900円弱ということか。ジェイジェイにそれを言うと、「高すぎる!ホームで見学だけにしよう。」ということになった。ではこの変な清算をしてしまったSuicaと乗車券はどうなる!?
この辺りはさすがJR東日本、さすがみどりの窓口といったところか。私のような変なことをやらかす新幹線見学者がいるのだろう。おかしな入場券とSuicaをみどりの窓口で差し出すと、すぐに事情を察し清算をしてくれた。Suicaを東京駅で一旦乗車券を清算した形にし、入場券だけに切り替えてくれ、上野まで払ってしまった分の金額を現金で戻してくれた。ありがたや~。
このドタバタ劇のせいですっかり新幹線の旅情などは吹き飛んでしまったのは言うまでもない。
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さて、東北・上越・長野新幹線に入ると、同じような子供連れの家族がホームにわんさかいることに気づいた。新幹線がホームに入線するたびに記念写真を撮っては、「これはE6系!」などと騒いでいる。しかしトゥットゥはと言うと、いつも「しんかんせん、しんかんせん」と叫ぶわりには、無表情。それよりも
「おとーたん、だっこ!」
といって抱っこをせがむばかりだった。人が多すぎて気後れしたか。至近距離すぎて新幹線とわからなかったのだろうか。一応、解説はしたんですけどね…。
私も新幹線が好きなので間近が見ることができて感激だった。E7系、E6系は色が違うだけかと思っていたら、ノーズの表情が違うということに気づき驚いた。ジェイジェイは
「トゥットゥよりジャッキーのほうがうれしそうだね。」
と笑った。
私が何より興奮したのはTESSEIのお掃除エンジェルたちを生で見れたことだった。TESSEIとは。JR東日本の新幹線車両内の掃除を請け負う会社(HPはこちら)。そこに所属する凄腕のおばさまたちはお掃除の天使とも呼ばれる。新幹線を迎え、見送るときは整列をして深深と礼をする。なにより機敏な清掃姿。私はテレビで見て以来、東京駅での活躍を生で見てみたかったのだ。そのエンジェルたちが目の前にいる。寒いその日も赤いジャンパーに赤いハンチング帽を被るエンジェルたちは健在であった。
トゥットゥを抱っこして新幹線やお掃除エンジェルたちを20分くらい眺めていただろうか。4本の入線を見て、3本を見送っただろうか。寒くなってきたので帰ることにした。その時である。
「こちら、受け取られましたか?」
声をかけてくれたのは、お掃除エンジェルの一人であった。手にはポストカードとシールが握られている。
「お子様とご一緒の方にお配りしています。どうかお受け取りください。」
そこにはTESSEIのキャラクターのちりとりと、新幹線をキャラクター化して、2015年3月14日の北陸新幹線の開業を宣伝するものであった。その日の記念になり、ものすごくうれしかった。
しかしその裏で大人の考えが頭を駆け巡った。お掃除が仕事のはずなのに。掃除会社はおそらく入札ではなく独占だろうに。ここまでお客さんにサービスする必要があるのか。これをしたから掃除の収益が上がるわけでも、お給料が上がるわけでもなかろうに。すぐさま「誰得?」と頭に浮かんだ。
しかしこれを書いている今ならわからる。「やりがい」なのだ。エンジェルたちがやりがいを持って取り組んでいくために、新幹線の座席や窓やゴミ箱ばかりではなく、生のお客さんの笑顔が見たいのだ。なぜなら掃除をするのはお客さんのためなのだから。それが目的なのであれば、これくらいのポストカードやシールを刷るくらいわけなかろう。
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結局トゥットゥの反応はあまり芳しくなく、親としては少し残念であった。しかし翌日の日曜日には
「おとーたんとしんかんせん」
と言っていたのだから、何かしら感じ取ってくれたのかもしれない。もしかすると、トゥットゥは私が舞い上がりすぎたのを感じ取って、その日の主役を譲っておとなしくしていたのかもしれない。ごめん、トゥットゥ。でもお母さんが楽しそうな姿を見せるのも、お母さんの仕事だと思うのよ。もうちょっと大きくなったら一緒に楽しみましょう。
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トゥットゥへの気付き
様子
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新幹線見学のあとKITTEへ。空中庭園はものすごい風で、「さむいねー」と言っていた。ベビーカーを押してこの商業施設をめぐると、あらぬところで「キティちゃん!」「ミッキーちゃん!」と叫び、見つけたことを知らせる。まるで街で「ウォーリーを探せ」をやっているようだ。
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体調
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下剤とマッサージでうんち好調。
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食事
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アンデルセンのクリームパンを食べた。やっぱりここのカスタードクリームはぽってりと卵風味でうまい!
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