2015年2月4日水曜日

初めての節分

私は季節の行事が好きで、独身時代もせっせと棚に季節の飾りやら花を置き、一人で雰囲気を楽しんでいた。節分も例外ではない。一人で豆まき、一人で鬼役、追い払い役、上等! 「そういう自分素敵!」という独身にありがちなナルシシズムに浸っていた。しかし結婚してからというもの、節分はやっていなかった。一つはそもそも私が豆があまり好きではないこと。大豆つながりで豆腐も豆乳もあまり好きではない。ついでに言うとナッツ類もあまり好きではない。味が濃いのだ。飽きてくるのだ。だから食べるならほんの少しでいい。それなのに年の数だけ食べるって? だんだんつらくなってきた。

そしてもう一つの理由。端的に言って余裕がなくなったのだ。豆を買ってきて、豆まきをする余裕が。働いているとそれ以外の時間をどう割くかが問題になる。独身時代は全て自分に割けた。しかし結婚するとその時間の一部はジェイジェイに割かれ、そしてトゥットゥが生まれると残りが全て割かれ、自分の時間はほぼ無くなった。それは季節を味わう時間も心の余裕も無くなることを意味した。まだトゥットゥは幼いから節分の意味もわかるまい。わかる頃になってからでいい。そうやって面倒くささを回避した。去年も一昨年も。

ところが節分を迎えるにあたり、保育園がなにやら活気づいてきた。まず1月末になるとトゥットゥたちの作った鬼帽子が教室の窓に飾られた。折り紙で作るコップをさかさまにして、角をつけたもの。大きな正方形の色紙で作ったようだった。次に月初に配られる保育園の教室通信で、その鬼帽子を被った子どもたちの写真が掲載されていた。これを被って当日は豆まきに臨むと書かれてある。保育園の本気を感じ取った。その反面、保育園でやってくれるから家でやらなくてもいいかという怠け心も起こった。





節分当日。保育園にお迎えに行き、ロッカーを開けるといつものように連絡帳が入っていた。すばやく連絡帳欄に目を通した。これが楽しみなのだ。トゥットゥはどんな風に保育園で過ごしたのだろう。

節分の豆まき(新聞紙を丸めたものを投げる)をしました。みんなで「鬼は外」「福は内」の掛け声の練習をしたり、投げる練習をして鬼を待ちました。トゥットゥちゃんは練習の時は張りきっていましたが、鬼の登場にびっくりして立ち尽くしていました。でもちゃんと玉を投げてがんばりました。

これを読んで、ぐっと愛おしさがこみ上げてきた。そうか、「鬼は外」「福は内」の練習をしたのか。2歳前なので玉を投げられるほど体が器用ではないけれど、それでも投げる真似事をしてがんばったのか。鬼の登場に立ち尽くしたのか…、泣かなかったのはきっと意味がわからなかったからだろうな。そんなことを思った。

トゥットゥを教室に迎えに行って尋ねた。

「鬼が来たの? 豆をなげたの?」

すると興奮して掛け声を発してくれた。

「おにはーそと!」「ふくはーうち!」

廊下には早速その日の様子の写真が壁新聞のように掲載されていた。まず年長の子たちが扮する子鬼がやってきて、それに対して豆を投げたようだ。子鬼が退散すると、鬼の親分、大人扮する赤鬼、青鬼がやってくる。髪は手作りクルクルパーマのかつら。手にはプラスチックのバットを改良した金棒。全身は赤と青のアンダーシャツとレギンス、スポーツ用の黒のハーフパンツ、赤と青のダウンジャケットはムキムキ感を出しているようでなかなかいい。それが襲ってきたという設定で、さらに子どもたちは頑張って豆を投げる。そうして追い払うと赤地に白の水玉の頬かむりとエプロンをした福の神がやってきて、おやつを配るというサービスまで! 

トゥットゥはその壁新聞を食い入るように見て、思い出したのだろう。赤鬼、青鬼を指しては

「おに、こわい、こわいねー。」

と何度も言った。保育園の本気は本当だった。クリスマス以上の設定の細かさ。こんな楽しい体験をさせてくれてありがたいと思った。





家に帰ると自分が節分に対して何も企画しなかったことが恥ずかしくなった。朝、ご飯を炊くようにタイマーセットする時間がなかったので、出勤のため家を出る間際にジェイジェイに「恵方巻きを買って!」とお願いしておいたのをふと思い出した。この時、ジェイジェイは「豆はいいの?」と聞いてくれたのだが、私は「いらない。」と事務的に言ったことを悔やんだ。

時計を見た。19時丁度。ジェイジェイは今頃スーパーマーケットにいて恵方巻きを買っているかもしれない。急いでメールを打った。

「節分の豆も買ってきて!」

その読みはあたり、ジェイジェイは19時20分頃、恵方巻きと節分豆を持って家に帰ってきてくれた。

「スーパーは豆が売り切れでさあ、コンビニ数件渡り歩いちゃったよ。」

本当に申し訳ない。トゥットゥが「鬼は外」「福は内」と言って豆を投げるところをジェイジェイと一緒に見たかったのだと説明した。ジェイジェイはおまけの鬼のお面も持って帰ってくれていた。さすが、細かいところに気が利くA型の男。こういったところに何度も助けられている。ありがとう、ジェイジェイ!

ジェイジェイが鬼のお面を被って、まずは鬼役。トゥットゥはきょとんとしていたが、私が「鬼だよ。『鬼は外』『福は内』をしないと!」と言って促すと、理解をしたようで、投げるとも落とすともわからないようなフォームで「鬼はー外!」「福はー内!」と行って豆を投げた。次に私が鬼の面を被って鬼役。私が鬼という設定がおかしかったのだろう。「おかーしゃ、おに!」と言って笑い、豆を投げた。豆があたって大げさに痛がると、トゥットゥはますます笑った。

「まだトゥットゥは幼いから節分の意味もわかるまい。わかる頃になってからでいい。」なんて思ったのは誰だ。トゥットゥはわかってるじゃないか。本当に親として恥ずかしい。

自分の時間は無くなったかもしれないが、家族に割く時間で季節を味わうようにすればよいのだ。余裕は時間の使い方ではなく、捉え方で生まれるものなのだと気付いた日だった。





トゥットゥへの気付き
様子
それまで一度も鬼を教えたことはなかった。この節分で初めて鬼と接したことになる。よほどインパクトがあったのか、家に帰っても「おに、こわい、こわいねー」と言うので、そろそろ絵本「地獄」の投入時期かと思った。
体調
月曜日からうんちが詰まってしまい、とうとうこの日浣腸。それまでは下剤とマッサージで問題なかったのだが、一度詰まってしまうとうんちが固くなってしまうようで、切れ痔を体験しているトゥットゥは催したい気持ちを拒否してしまうらしい。結局浣腸でピンポン玉3個分の硬いうんちを大泣きしがら出した。
食事
恵方巻きはお気に召さなかった様子。大豆は1粒拾って食べていたが、あまり美味しいものではないらしく、その後は粒を摘んだり投げたりお皿に入れたりと遊んでいた。