その代わりトゥットゥと一緒にいる時間は、話をゆっくり聞いたり、ブンバ・ボーン体操に付き合ったり(必ず呼びにくる)、アンパンマンのソーセージが食べたいと言われれば皮を剥いてあげたり、テレビを見るときはべったりくっついて相槌を打ちながら一緒に見たりと、それなりに愛情は示しているつもりだ。だから「好き」という言葉を言わないからと言って、愛情がないとは勘違いしないでほしいし、自分も両親の行動で感じ取ってきたので、トゥットゥにもその感性がほしいと思う。
対してジェイジェイは私と違い、よくトゥットゥに向かって「お父さん、トゥットゥのこと、大好きだよ~」と言う。ジェイジェイは長女長子のサチ母に育てられた(サチ母のお母さんも長女長子)女系家族のプリンス。私もトゥットゥが男の子だったら、愛情の示し方はまた違うのかもしれないなと思うのだった。
さて、3月に入ってトゥットゥは
「おかあさん、すき」
「おとうさん、すき」
と言うようになった。今までは「すき」は大好きなバナナやアンパンマンに対して使われたが、人に対して使われたのは初めてだ。それまでは単純に好ましさや執着を表す言葉だったのが、人に使うことで微妙なニュアンスを含むようになった気がした。
その言葉は私たちがお世話をしている最中に唐突に出てきた。どことなく「貴方の私に対してしてくれていることは好ましい。私は貴方なしでは生きていけない。これからもよろしく頼むよ。」みたいなニュアンスがある。それは上目遣いの表情から読み取れた。
私はてっきりジェイジェイの「大好きだよ~」をまねしたのかと思ったが、よく聞いてみると彼女の「好き」には「大」はつかない。ジェイジェイのそれはトゥットゥのバナナやアンパンマンに対する見返りを求めない単純な好き、純粋な愛情に近い。ニュアンスが違う。だからトゥットゥにいくら聞き返してみても、促してみても決して「大」は付かない。
そしてその言葉はジェイジェイよりも私に対してよく使われた。手でハートの形を作って
「おかあさん、すき。ハート」
などと言うようになった。ぐわッ、可愛すぎる!! どうやら彼女の使う「好き」は保育園の集団生活で身につけた語感のようだった。
そして3月半ばくらいに「すき」の対として「きらい」も登場。にやにやしながら
「おとうさん、きらい」
と言うと、ジェイジェイは
「ええええー!そんなあ。」
と大げさに悲しんだ。どうやらその反応が面白いらしく、「おとうさん、すき」と言った後に、「おとうさん、きらい」と言ってみたりと、ジェイジェイを揺さぶった。それを会社でいつもお世話になっている女性上司にいうと、
「さすが女の子だわ。小さくても『女』だわ…。」
と言った。なーるほど。『女』だわ(笑)。
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言葉を操り始めている。言葉で人を動かそうとしている。そう感じた事件は最近もう一つあった。4月26日(日)の晩、寝かし付けをしているときだった。我が家ではいつまでも夜更かしする子のところに鬼がやってくると脅して、早く寝るように仕向けている。2015年2月からの習慣だ。その日も暗い寝室にも関わらずいつまでもはしゃぐのでそう脅した。彼女は鬼を信じていた。
「おに、くる」
トゥットゥは心配そうに言った。そしていつもならここからすぐ横になって目を瞑る。しかしこの日は違った。いきなり背筋を伸ばして座り、鬼が来るという窓に向かって大声を張り上げた。
「いつもえんえんないているMちゃんを、おにさん、つれていってください。」
なに、その長い文章! その内容に思わずジェイジェイと一緒に笑ってしまった。自分を連れていかないように、鬼に直接交渉しようとしている! しかも保育園の友人をいけにえに差し出している!!
このMちゃんというのはトゥットゥのお世話をよく焼いてくれる子だった。「誰と遊んだの?」と聞くと、いつも名前が出る子だったが、3月半ば頃を境にあまり名前が出なくなった。その名前を聞くと「Mちゃん、いない」と自分の世界から消してしまうこともしばしば。自分ばかりに向かってくるおせっかいという名の愛情に少し面倒臭くなったのだろうか。子どもの世界が垣間見えた気がした。
このゴールデンウィークも似たようなことがあった。千葉のサチ母の家に遊びにいった。そこでおもちゃを広げて遊んでいたが、一向に後片付けをしない。ジェイジェイが
「このおもちゃを出したのは誰?」
とたずねるとトゥットゥは目を逸らしながらこう言ったという。
「Tくんがおもちゃだした。」
Tくんというのは「誰と遊んだの?」と聞くと、現在進行形でいつも名前が出てくる男の子だ。トゥットゥが先週「おうちかえる」の流れで愚図ったとき、プラレールの新幹線を差し出して、トゥットゥを遊びの誘いににきてくれた。なんて優しい子だろうと思った。懇談会では、このTくんは電車のレールを二つ並べると必ず片方は保育士にくれるというエピソードでその優しさが皆の前で褒められていた。
トゥットゥはTくんがおもちゃを出したことにした。彼女が嘘をつくのは知っていたが(2月8日Twitter、2月17日Twitter)、T君の優しさに漬け込んだのだ。無論そんな嘘は通用するはずもなく、ジェイジェイが呆れて、
「ひどーい、トゥットゥ。Tくんのわけないでしょう! このおもちゃを出したのは誰?」
と再度聞くと、トゥットゥは目を逸らして
「…トゥットゥ」
と言った。自分との関係性を加味した発言は、鬼や親といった怖い存在をなんとか動かそうとした結果ではなかろうか。成長を感じた。と同時に、この関係性を読む力を誤るといわゆるズル賢い子になってしまうため、いい方向に導くにはと思った。難しい。
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ゴールデンウィークにあることに気づいた。トゥットゥの「きらい」の使い方だ。私が彼女の気に入らないことをやる。例えば夕飯時、遊んでいる玩具を取り上げて、食卓に連行する。動画を見たいと訴えるのにもう寝る時間だと説き伏せるなど。すると彼女は言うのだ。
「おとうさん、きらい。」
なぜお父さん? ジェイジェイはとんだとばっちりである。
「そういう場合、きらいなのはお母さんでしょう?」
と言っても繰り返すのは
「おとうさん、きらい。」
ジェイジェイは相変わらず大げさに悲しむふりをする。でもトゥットゥはわかっている。お父さんは自分を裏切らない。振り回しても大丈夫。そういう表情でそういい続けた。
ゴールデンウィークに千葉のサチ母のところに行った。さすがにサチ母はトゥットゥの気に入らないことなどやらない。やさしいおばあちゃんだ。しかし珍しく、夕食時にボールで遊んで食卓に着こうとしないトゥットゥに手を焼いてボールを取り上げた。すると
「おとうさん、きらい。」
が出るではないか。ああ、より直接的に世話を焼いてくれる人(おむつを替えてくれる、ごはんを用意してくれる、保育園の送り迎えをしてくれる)には、面と向かって「きらい」と言ってはいけないと本能的にわかっているのだ。自分が嫌われれば世話を焼いてくれなくなるから。それであればジェイジェイでなく私に「すき」を連発する意味もわかるというものだ。
確実に人間関係を読み取っているのだと思った。社会性を身につけ始めたともいうべきか。好きに意味を持ち始めたというべきか。冷静に考えると怖いことだと思った。人間社会で生きていくには損得を読んで自分の生存に有利に動かなければならないのは仕方ないことだが、生き生きと毎日を過ごすには条件付の好きほど自分の心の翼を折ってしまうものはない。せめて家では条件つきの好きはなくしてやりたい。私のことを面と向かって
「おかあさん、きらい。」
そう言えるように子育てをしていきたい。「きらい」と言っても壊れない信頼関係を築きたい。
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トゥットゥへの気付き
様子
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会話が成り立つようになってきたが、GW最終日は電話での会話が成り立っていたことに驚いた。電話口の山口のおばあちゃんに「晩御飯は何食べたの?」と聞かれ、「しらす!」と。おいおい、メインは手作り餃子だったじゃないか。4つも食べたじゃないか。手抜きと思われるじゃないか!
◆電話での会話成立 |
体調
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桃の葉ローションに変えたのだが、肌荒れなくならず。乾燥肌?アトピー? 病院にいくか。
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食事
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「アンパンマンのソーセージ」「アンパンマンのチーズ」「しらす」「ヤクルト」「チョコレート」5大好物。
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