土曜日もトゥットゥは朝から父親のジェイジェイに手を伸ばして早速抱っこをしてもらっていた。夜勤明けだというのにお構いなしだ。結局ジェイジェイは少し寝ただけで、土曜日の日中はトゥットゥの面倒を見るはめになった。私の印象ではお昼寝を除いてはずっとお父さんの抱っこか、お膝にいたような印象である。
事件は夕方起こった。ジェイジェイが再び夜勤に出かける前に例の「こっち」「こっち」を言い始めた。ジェイジェイは出かける直前ではあったが、なるべくトゥットゥの要望に応えようと「こっち」の方向に行った。どうもマンションの非常階段の踊り場の景色が好きなようで、そこに行けと言っているらしい。ひとしきりその要望に応えると、ついには出勤の時間となり、抱っこは私にバトンタッチされた。
「ぎゃーーーーー!」
仰け反って泣き始めた。私の抱っこでは気に入らないようだ。しかしジェイジェイは出勤しなければならない。取れたての鮭のように暴れるトウットゥをなんとか抱っこしてジェイジェイを見送った。そしてすぐに「お父さんを見送りに非常階段の踊り場に行こう。」とトゥットゥに声をかけた。彼女は意味がわかったようで泣き止んだ。そこから身を乗り出して父親のジェイジェイを見送ると部屋に戻った。大泣きするかと思ったが、満足したようで一人でカップの玩具で遊び始めた。
その日は暑かった。そろそろ扇風機を出してもいいだろうと思い、押入れからダイソンのリング状の扇風機を出した。トゥットゥは遊んでいた手を止めた。まず扇風機の箱が気になったようだ。次にリング部分が出てくると、すぐにそのリングを両手で持ち上げ頭から被った。リングが気に入ったようだ。しかし扇風機を利用するにはその部分が必要なため、トゥットゥに「これ頂戴ね。」と断ってから奪って組み立てた。その時点で気に入らなそうな顔はしていたが、組み立て終われば彼女の好きな風が吹いてくる(団扇で扇がれるのが大好き)ので最終的には満足するだろう。
そう思ったのが甘かった。「トゥットゥ、風だよー」明るい声で主電源を押した。ぶわーーーとトゥットゥに向けて風が吹いてきた。さあ、よろこべ! ところがトゥットゥの反応は意外なものだった。
「ぎゃーーー、かぜーーー、かぜーーー、ぎゃーーー」
そう言って泣き叫びながら私の首に抱きついてきたのだ。怖いのか? 急いで扇風機を切った。ところが「かぜー、ぎゃー、かぜー」を繰り返しながら泣いている。扇風機を止めても泣くということは風が怖いわけではないのかしら。やっぱり暑いよな。扇風機を付けよう。しかし結果は同じだった。首にしがみついて泣いている。「どうしたの?」と聞いても鼻水を垂らし、大粒の涙を流し続ける。ああ、もしや扇風機のリングで遊びたいのか? 私は扇風機を止め、もう一度分解して、リング部分をトゥットゥに被せた。しかし手で払いのけて「かぜーー」と泣き叫んでいた。こうなるとお手上げだ。
しばらく大泣きするトゥットゥを膝の上に乗せて途方にくれていた。ベッドルームに行ったり、鏡を見せたりと部屋で気分転換をしてみたが、10分経ってもまだ泣き続けた。どうしたらいいのだろう。ふとトゥットゥの扱い上手なサチ母を思い出した。母を見習って抱っこでお外に行ってみよう。重たいトゥットゥを抱っこして外に行った。非常階段の踊り場を上がっていった。5階まで上ると正面に駅のホームが見えた。トゥットゥは景色が見えると泣き止んだ。ホームに電車が入ってくるのが見えると「でしゃー、でしゃー」と指さして楽しんでいた。さっきの大泣きはなんだったんだ?
この日長時間抱っこの有用性を否が応でも認めざるを得ない日となった。
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トゥットゥへの気付き
そう思ったのが甘かった。「トゥットゥ、風だよー」明るい声で主電源を押した。ぶわーーーとトゥットゥに向けて風が吹いてきた。さあ、よろこべ! ところがトゥットゥの反応は意外なものだった。
「ぎゃーーー、かぜーーー、かぜーーー、ぎゃーーー」
そう言って泣き叫びながら私の首に抱きついてきたのだ。怖いのか? 急いで扇風機を切った。ところが「かぜー、ぎゃー、かぜー」を繰り返しながら泣いている。扇風機を止めても泣くということは風が怖いわけではないのかしら。やっぱり暑いよな。扇風機を付けよう。しかし結果は同じだった。首にしがみついて泣いている。「どうしたの?」と聞いても鼻水を垂らし、大粒の涙を流し続ける。ああ、もしや扇風機のリングで遊びたいのか? 私は扇風機を止め、もう一度分解して、リング部分をトゥットゥに被せた。しかし手で払いのけて「かぜーー」と泣き叫んでいた。こうなるとお手上げだ。
しばらく大泣きするトゥットゥを膝の上に乗せて途方にくれていた。ベッドルームに行ったり、鏡を見せたりと部屋で気分転換をしてみたが、10分経ってもまだ泣き続けた。どうしたらいいのだろう。ふとトゥットゥの扱い上手なサチ母を思い出した。母を見習って抱っこでお外に行ってみよう。重たいトゥットゥを抱っこして外に行った。非常階段の踊り場を上がっていった。5階まで上ると正面に駅のホームが見えた。トゥットゥは景色が見えると泣き止んだ。ホームに電車が入ってくるのが見えると「でしゃー、でしゃー」と指さして楽しんでいた。さっきの大泣きはなんだったんだ?
この日長時間抱っこの有用性を否が応でも認めざるを得ない日となった。
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トゥットゥへの気付き
様子
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要求が通るまで粘る、泣くという芸当を身につけた。
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体調
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便秘、泣きながら大うんち。切れ痔となった。
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食事
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いちごが大好きなはずなのに飽きたようで手をつけないことが続く。
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