別に墓参りもお披露目もGWでなくてもよかろうという意見もあろうが、私たち夫婦が揃って二泊三日の休暇が取れること、そして小さい子を連れて行く都合上、東京よりははるかに寒い平泉のベストシーズンに行きたいこと、この条件を満たすのがGWだったのである。サチ母が早く行きたがっていたのはもう一つ事情があると思われた。それは自身が本家の跡取り娘だったことである。当然その息子のジェイジェイは本家筋の跡継ぎとなる。それは私たち夫婦と娘トゥットゥのラインは本来であれば本家の墓守であったことを意味する。その墓守をさる事情で大叔母にお願いしてきたことがあり、遅かれ早かれトゥットゥの紹介が必須だった、と私は理解している。
合同葬や散骨が流行るご時勢に一族の墓守!? と長男の嫁、舅姑、小姑といった話題が大好物な大手小町的に考えると時代錯誤で非常に面倒のようにも思われるが、それを言っても仕方ない。そういうバックボーンを持ったジェイジェイと私は出会ってトゥットゥが生まれた。すべては縁である。そもそも結婚というものは祖霊の祭祀のために行うものではないか。そうでなければ結婚など仕組みとして必要ない。この日本で籍を入れないまま子供をなせばいい、ただそれだけである。だから長男のジェイジェイと結婚する時にある程度の覚悟が私にはあった。まあ、ここまで大きな話がついてくるとは思いもしなかったのだけれど。将来どうなるかはわからないが、このことを認識しておくのは悪いことではないだろう。
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上野駅でサチ母と待ち合わせをした。「トゥットゥちゃん、お熱下がったの? よくがんばったわね。顔色がまだ悪いけど。」 この旅行が決行されることになって一番喜んだのはやはりサチ母だった。トゥットゥは早速お祖母ちゃんに手を伸ばした。抱っこしてくれる人という認識があるのだ。サチ母は「うーん、かわいい!!」と頬ずりをしながらトゥットゥを早速抱っこした。まだまだ旅は長いのに大丈夫なのか?
案の定、トゥットゥは新幹線の中ではサチ母のひざの上で退屈だと愚図った。サチ母は気分転換に抱っこでデッキへと向かった。トゥットゥはその際覚えたばかりの指示語「こっち、こっち」を連発。早速デッキでのトゥットゥの叫び声が聞こえてきた。従わないとギャン泣きをするのだ。後で話を聞いたところによると私たちのいる1号車から5号車まで行ったそうだ。いつもありがとうございます、サチお母さん…。
新幹線の中でおむつ替えをしに9号車に向かった際、偶然にも0歳児クラスで一緒だったKちゃんとKちゃんお母さんに声を掛けられた。旦那様もいっしょだ。私は嬉しくなって「よく私たちってわかったねー!声かけてくれてありがとう!」と言うと、「おばあちゃんに抱っこされたトゥットゥちゃんらしき子を見て、『あれ、トゥットゥちゃんだよね?』と何度も確認しちゃったのよ。目力でわかるって言うか…。それでトゥットゥちゃんママを見て確信したわけ。」 そうか、やはりトゥットゥの目力か。トゥットゥは会う人会う人に目力を指摘されるが、こんなところで役に立とうとは。悪いことはできないな。
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平泉の大叔母の家に到着すると予想通り大叔母は大歓迎だった。「可愛い」「可愛い」と連発してくれた。その言葉の合間に「うちの子になったらいいのに。」「平泉小学校に行くのよね。」を数回口にされた。事情を知っている私としてはやはり跡継ぎとして期待されているのかと思った。仕方ない。ジェイジェイ一家は女系であり、大叔母の子らも皆娘である。その中でジェイジェイは正真正銘本家のプリンス、そしてトゥットゥはプリンセスなのである。私はその事実だけを思い出して、それ以上のことは敢えて考えないようにした。トゥットゥは周囲の熱狂とは裏腹に大叔母の家についてから一言も話さなくなった。ずっとサチ母の首にしがみついていた。
その時間帯のちょうど春の藤原まつりで源義経公東下り行列が行われていたため見に行くことになった。トゥットゥの緊張をほぐすのにはちょうどよいと思った。見に行くまで大叔母は高齢を押して10.5kgもあるトゥットゥを嬉しそうに抱っこしてくれた。義経役の俳優の山本裕典を間近で見ることができた。うわ、顔ちっちゃい!! これがその時の写真。
トゥットゥは夕飯後、お風呂から上がってようやくトゥットゥ語が出始めた。ここからがトゥットゥの本領発揮なのである。
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翌日はご機嫌よろしくジェイジェイに抱っこされ、サチ母に抱っこされ、大叔母に抱っこされ、同居している大叔母の娘さんに抱っこされ、「こっち」「こっち」「あっち」「あっち」を連発した。常に抱っこされて行きたい方向に連れていってもらった。常時抱っこなど私と二人きりの日常では決してやってもらえない。手を伸ばせばいずれかの4人がすぐに抱っこしてくれる。トゥットゥの我が物顔、ドヤ顔といったら…。その様子を見て彼女はプリンセスだと思った。立場以上に振る舞いが。
そして午前中、皆に囲まれて「可愛い」「可愛い」と言われている最中にトゥットゥは初めて歩いた。お父さんのiPhoneを持ってトゥットゥ語で電話ごっこをしている最中に。皆で一斉に「歩いた!」と声がかかって、それは感動的だった。今でもその様子は忘れない。
その感動を持ってそのままお墓参りに行った。お墓の前で手を合わしていると何とはなしに涙がでてきた。心の中は「すずを連れてきましたよ。」 それしか伝えようとしていないのだけれど、喜びのようなものが心の中に湧き出てきたのである。それは私の喜びなのか、それともサチ母をはじめジェイジェイや大叔母の喜びが伝わってきたのか、はたまた亡くなった祖母をはじめ鬼籍に入った一族の喜びが伝わってきたのかはわからない。それはボーダーレスのような気がした。私はトゥットゥに命を繋げたんだ。そのことを誇らしく思った。
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トゥットゥはたくさんのお土産をもらった。お洋服、知育おもちゃ、絵本、タオルケット。どれもこれも私たち夫婦では高くて買えない上品で上質なものばかりだった。わざわざ仙台まで出て買ってくれたそうである。トゥットゥは本当に期待された子だったことがお土産からもわかった。サチ母が仏壇にお別れのご挨拶をした後に言った。「ジェイジェイはね、私の母の一番のお気に入りの孫だったの。」 わかってます。女系一族の唯一のプリンスだものね。「そのジェイジェイの子を見せてあげられて満足。」
トゥットゥ、よく熱を下げてくれたよ。あなたは来なければならないことを知っていたんだね。
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トッゥトゥへの気付き
様子
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◆電話ごっこをしながら三歩歩く。
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体調
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5/3の朝は顔色が悪かったが、お昼過ぎあたりから頬がばら色になる。まだ気管はゼーゼー言うようで処方された薬を飲んでいる。
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食事
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千疋屋で買うような美しくて美味しいいちごが与えられた。結果主食がいちごとなった。おかげでうんちがゆるゆる。ありがたい。
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