2014年7月9日水曜日

金魚はどこ?

腕がいいと評判の行きつけの小児科は大先生と当番医の2名体制だ。この大先生というのが結構怖い。以前トゥットゥの痔で病院にかかったとき「うちの子が切れ痔になって血が出まして。」と伝えたとき、「意味がわからない」と一喝されたことがある。これは痔かどうかは医者が判断することであって、患者(もしくはその親)は症状を述べればよいというお叱りの意だと判断した。以後、医者にかかるときには気をつけているのだが、この大先生だとやはり緊張してしまうのだ。

会社を早退してお昼の3時過ぎにその小児科に向かった。願わくばやさしい当番医のおじいちゃん先生か女医さんでありますようにと祈って病院に行ったが、こういう日に限って大先生に当ってしまうのであった。朝9時過ぎにきてトゥットゥの面倒を見てくれていたサチ母は一緒に診察室に入りたがったが、丁重に断った。以前お母さん友達との情報交換でこの大先生は子供に付いて母親、祖母が一緒に入ってくると「二人入ってきたからって子供がよくなるわけじゃないでしょ。おばあちゃん出て行って。」と祖母を追い出すと聞いたからだ。そしてこの手のタイプの母親、自分の判断に自信がなく他人に判断を頼る、いわゆる母親の自覚が足りない母親を最も嫌い、問診でびしばしとしごくらしい。ただの気分屋で不機嫌だといううわさもあるが…、教育だと思いたい。

さて緊張してトゥットゥと一緒に診察室に入った。「どうしました。」きたー。なるべく昨日の様子をフラットに伝えた。トゥットゥ、夕方18時頃、声がしゃがれる。熱37度5分。すぐに就寝。寝息がヒューヒュー言っていた。夜1時頃、熱38度2分。つらくて泣いていた。今朝は熱は37度5分。私の提供情報から漏れているものは質問が飛んだ。「鼻水は?」「ありません。」「咳は?」「時々。2時間に1回くらい」 じつにスピーディなやり取りである。

大先生は聴診器を当て、喉を見て、すぐに「ヘルパンギーナかもしれないね。今の症状だけだと断言はできないけど。」と言われた。なんだ、そのアンパンマンの登場人物みたいな名前の病気は。ヘルパンギーナとは夏風邪の一種で、熱と喉の腫れが主な症状だそうだ。「まあ典型的なカセイクループの症状だね。」 私は必死に漢字を思い浮かべた。「カセイというからにはシンセイがあってね。」 ああ、仮性クループ、真性クループ。「真性クループって言うのはジフテリアのこと。まあ今はジフテリアはほとんどないけどね。」そりゃそうだ。予防接種しているし。脅すなよ。

「お薬は抗生物質を出します。あと咳は出ていないけど咳止め、痰切り。ひどくなると咳に移行するから予防の意味ね。熱さましも出します。効果は10時間。夜呼吸がしんどそうなら、熱がなくても飲ませて。」 大先生の話に付いていくために仕事以上に頭を回転させたに違いない。「とにかく喉が腫れているというのはいいことじゃないから、症状がひどくなるようならまた来て。」 ここでフィニッシュ…かと思いきや「ああ、気管を広げる吸引やってって」。本当にここで診察は終わり。私はようやく安堵した。トゥットゥはこの間大人しくしていた。吸引用の口を覆うコップを嫌がってて手で払いのける様子はようやくトゥットゥらしさが戻ったなと思った。





薬局の待合室でトゥットゥは本を指差した。私は適当に取った。



手に取った本は有名な「きんぎょがにげた」だった。金魚が金魚鉢から逃げて、色形を利用していろんなものに成りすまして画面に隠れているというもので、五味太郎さんの絵が可愛くて大好きな絵本だ。

以前トゥットゥが1歳になる少し前辺り、彼女に見せたときは、金魚はおろか絵本にすら興味を示さずがっかりしたものだった。今回絵本を指差したといっても、トゥットゥは本をめくる遊びが好きというだけで、絵が好き、お話が好きとはまた少し違う。あまり期待をせずにトゥットゥに絵本を開いて見せてやった。

「トゥットゥー、金魚どこー。」

するとトゥットゥは迷いなく逃げた金魚を指差した。

「んッ」
「・・・」

これは偶然か。私は次のページを開いてまた同じことを聞いた。すると今度も迷いなく逃げた金魚を指差した。金魚はわざと他のものに紛れているのでわかりにくいはずなのに。私は調子に乗って全てのページで金魚探しを試してみた。トゥットゥは全てを指しきった…と思いきや、最後2ページは飽きてしまって、そっぽを向き、適当に指しているのがよくわかった。「それは金魚ではないよ。(苦笑)」 そのあたりもトゥットゥらしさかなと思った。

日中は保育園にお任せしてみてやれないのが、思わぬところで彼女の成長を知ることになろうとは。仕事は午後から休むことになってしまったが、こうやって日中彼女といるのは貴重な時間となった。トゥットゥは病気など迷惑だろうが、ありがとうと言いたい。





トゥットゥへの気付き
様子
一日中家にいるのは退屈なのだろう。サチ母にしきりと外に行くように促したようだ。サチ母は抱っこで近所のドラックストアまでお散歩、子供乗り用ショッピングカートで店内を一周すると満足したという。
体調
ヘルパンギーナという夏風邪。昨晩は1時に一度目を覚まし、高熱と喉の痛さで泣いていた。お茶を飲ませてなんとか寝かせた。また昨晩夕方6時に寝たせいか朝4時には目を覚まし、具合が悪いにもかかわらず、自分でベッドを降りて居間で遊んでいた。私は1時間ばかり付き合って、再び5時過ぎに寝かしつけた。食欲が落ちた以外は基本元気なようである。
食事
喉が痛いためか食欲がなく、飲み物も拒否していたようだが、午前の散歩後の一眠りの後、柔麺をもりもり食べるのを見て、サチ母は涙が出たと言う。ご心配おかけしました。