椅子から下ろす前に「さあ、ごちそうさまは?」と言うといつもならおざなりにパチパチと手を合わす。しかし今回は何もしなかった。おかしいとは思ったが、そのままジェイジェイがトゥットゥを子供用の椅子から降ろし、寝室に連れていこうとした。
その瞬間トゥットゥの癇癪玉は炸裂した。
「ぎゃあーーー」
ジェイジェイは何が起こったのかわからないまま、とりあえず寝室に連れて行って布団の上に置いた。トゥットゥはジェイジェイは眼中になしという感じで、抗議するように即座にベッドから起き上がり、ベッドから降りて居間にやってきた。泣きながら椅子を指差していた。椅子によじ登ろうとしていた。どうも彼女の中では食べ終わってないらしかった。あんたさっき食べずに遊んでいたじゃないの。
仕方なく椅子に戻した。ぴたっと泣き止んだ。そして自分が泣いたことを正当化するかのように、おもむろにご飯茶碗と取りスプーンを持った。「私食べるから」というポーズなのだろう。うそつけ、お腹すいてないくせに。
しかし今の彼女ではスプーンはうまく使えない。私はトゥットゥを観察しようと隣の席に座って様子を見ていた。案の定、ご飯がうまい具合にスプーンに乗っからなかった。何度もスプーンでご飯をすくおうとチャレンジした。ダメだった。ご飯茶碗を押しやった。そして机の上を台拭きで吹くみたいな仕草をした。腹が立っているのだ。再び
「ぎゃあーーー」
と叫んだ。はいはい、本当は机の上で遊んでたかったんだけど、ご飯を食べるという建前が必要なのよね。だったら少しでもご飯たべないと。
そう思って追いやられたご飯茶碗を引き寄せ彼女の近くに置いた。しかし再びご飯茶碗を遠くへ押しやった。強情っぱりだな。今度は私がご飯茶碗を持って、お匙でご飯を口に入れようとした。
「ぎゃうツ!」
違う!と叫んだようだった。あっと言う間に私が手にもった匙は払いのけられた。そしてそのまま「こっちッ、こっちッ」とテーブルの遠くを指差して泣き続けた。「これ?」 私は順番にテーブルに置かれたものを取って、トゥットゥに渡した。トゥットゥは手で払いのけた。それを繰り返した。ジェイジェイと私は顔を見合わせた。何がしたいんだ? ご飯を食べたいんじゃなかったけ? 目的を思い出せ、トゥットゥ。
私はご飯がスプーンに絡めば自分で食べれれて満足するのではと思い、離乳食用プラスチックスプーンから銀のステンレス製スプーンに取り替えた。スプーンにご飯を乗せてやって手渡した。手で払いのけられた。次に食べ物がスプーンに絡めばいいのだからと、ヨーグルトを入れた椀を渡した。やはり手で払いのけられた。「こっちッ、こっちッ」と泣き続ける。万策尽きたか…。
すでにトゥットゥの椀にご飯をよそってから40分近くが経過していた。ご飯は冷え冷えで硬くなっていた。もしや…と思い、お櫃からホカホカのご飯をよそいなおした。湯気の立つご飯を匙ですくって口元に持っていった。
パクッ。
黙って食べた。やっぱりご飯が食べたかったんだ。「こっち」の指の先は炊飯ジャーだったのか!? 初心を忘れていなかったのか、トゥットゥ。結局、泣き止んで温かご飯を一膳食べきった。ブラボー!! 子供が癇癪を起こすのには子供なりの正当な理由があるということがよくわかった。
★
トゥットゥへの気付き
様子
|
家に帰ると土曜日にサチ母からもらったアンパンマン手押し車があるというのに、保育園で必ず遊んで帰る。そして車に乗るときはまたがるのではなく、お嬢様乗馬座りをするのだが、あれはなんだ?
|
体調
|
手足に小さな蕁麻疹があるのだが。手足口病ではあるまいな。それをやると夏の病気の役満状態だ。「かいーかいー」と言って掻いているのが可愛い。
|
食事
|
最近炊飯ジャーをTIGERのものに買い換えた。極うま炊きというのがあって、確かに旨い。トゥットゥはそれがわかるのか、極うま炊きしたものは必ずおかわりする。舌が肥えてるな。
|