2014年10月13日月曜日

エクソシスト

11日(土)はジェイジェイに誕生プレンゼトに眼鏡を買ってもらい、日本橋のレストランに誕生日ディナーに連れていってもらった。奮発して季節のコースを頼んでもらい、トリュフやカラスミなど珍しい食材を味あわせてもらった。そして12日(日)は誕生日イベント続きということで、一人の時間をもらった。「好きなことをしておいでよ。」 ジェイジェイにもサチ母にもそう言ってもらい、トゥットゥを10時半頃上野動物園に連れ出してもらった。

念願の一人時間! 何をやったかと言うと、私の誕生日にブドウを送ってくれたおばあちゃんにお礼の電話を入れた。そして遅ればせながらトゥットゥの病気との闘いの記録(ジスロマックの戦い)をこのブログに書いた。いずれも家事の中でも事務作業と言えばただの事務作業なのだが、一人だと捗り方が全く違う。ゆっくりとした気持ちでおばあちゃんと電話もできたし、ブログを書くのにじっくり思い出すことができた。

そしてそれが終わると晴れて上野公園へ。時間はまだお昼の1時。動物園にはまだ合流せず、東京都美術館のウフィツィ美術館展に向かった。美術館もジェイジェイにお願いして行かせてもらった6月のバルデュス展以来だ。大学の時に始めての海外旅行で行ったイタリアで訪れたウフィツィ美術館。今でも思い出が鮮烈で、ピエロ・デラ・フランチェスカの「ウルビーノ公夫婦の肖像」は大変気にってポストカードを買って帰り、今家に飾ってある。

11日が初日とあって、立ち上がったばかりなので人手も思ったほど多くなく、この手の企画展にしてはわりとゆっくり見ることができた。大学時代がよみがえってきたようだった。今回よかったのは絵の解説にもともと飾られていた場所が説明されていたことだった。絵と対峙しながらその空間を想像する幸せ。やはり生で見るのは素晴らしい体験であった。





美術館での絵画鑑賞を終え、2時過ぎにトゥットゥのいる上野動物園へ行った。私の顔を見ると保育園に迎えに行った時のように笑顔で寄ってくるのかしら。そんなことを思いながらモノレール駅の下で再会したトゥットゥは無表情でどことなく不機嫌そうだった。心なしかジェイジェイもサチ母も疲れているようだった。

「チケット買うのに並ぶでしょ。その側の遊園地が気になって泣くの。ようやく園に入ってパンダ見に行くでしょ。でも人も多い上にパンダも遠くにいるからなかなか見えないし。鳥は気に入ったみたいなんだけど、私が苦手だからそんなにゆっくり見れないし。だからトゥットゥちゃん不機嫌なの。さっきまで寝ていたのよ。」

サチ母は残念そうに言った。ああ、大人なら動物に目をキラキラさせる子供を期待するもんなあ。
すいません、サチお母さん。しかし手にはしっかり買ってもらったパンダが握られていた。

私が合流した後も笑顔は戻らなかった。撮った写真はすべて不機嫌顔だった。結局笑顔が戻ったのは動物園を出て、スターバックスで皆で一服しているときだった。ジェイジェイは「まだ動物園は早かったな…」と言ったが、私はトゥットゥは病みあがりだし、人が多かったし、疲れたんだなと思った。ゆったりした気持ちで見られるように、機会があれば平日に連れてきてあげようと思った。





しかしその不機嫌の直接原因は動物園が早すぎたのでも、人が多くてストレスだったのでもないことを後で知る。その晩お風呂に入れようと服を脱がすと気付いた。

「体中に発疹がある!」

そういえば朝、顎や額の発疹が少し気になっていたが、ここまでだったとは。痒がる様子もなかたので体については気づいてやれなかった。

急いでいつもお世話になっている育育児典を見た。熱を測ってみたが熱はなかった。もしやこれは熱が出た4日後あたりに発疹が出るという突発性発疹なのでは? 熱が出たのは9日(木)、10日(金)。11日(土)深夜には熱で苦しんだものの、朝には下がった。そして12日(日)、ちょうど4日目。大体の育育児典の記述に当てはまる。

2歳までの子供であればほとんどが体験する突発性発疹。「高熱だけで脳がやられることはない」「高熱であわてないための訓練」とも書いてある。もう熱が引いているのだから後は見守るだけ。「不機嫌が続く場合もある」と書いてあるので、今日の動物園での元気のなさはそれに当たるのだろう。この時点ではそんなに大事ではないと思った。

ところがだ。事件は13日(月)のハッピーマンデーに起こった。やってくる台風の中、私たち家族は休暇をどうハッピーに過ごそうかと考えていた矢先だった。

「ぎゃあああああああ!」

トゥットゥの機嫌が今までにないくらい凶悪になった。私の抱っこ以外は何をしても気に入らない。すべてに当り散らして泣き喚くのだ。とにかく私の抱っこが必要らしい。室内で抱っこ紐を装着してトゥットゥを抱っこした。そうすると外に連れ出してくれると思ったのか、「こっち、こっち!」とドアを指差して泣き喚いた。台風が来てるんだよ…。外は小雨だけど風がひどいよ。トゥットゥを抱っこ紐で抱っこし、傘を差してジェイジェイと一緒に散歩に出た。おとなしくなった。よかった。そしてそのまま昼寝してしまった。

昼寝から起きたトゥットゥの機嫌をジェイジェイが取りながら抱っこした。そして椅子に座らせて昼ごはんを食べさせようとした。その時だった。午前中の悪夢再び。

「ぎゃあああああああ!」

ものすごい力で泣き続けた。そしてものすごい力でジェイジェイの腕の中で暴れた。また私の抱っこか?と思って抱っこ紐出動したが全くお呼びでなかった。

「おとーしゃーーーーー!」

私はすごい勢いで払いのけられた。珍しい! お母さんではなく、お父さんを呼んでいる。ジェイジェイは腕から落ちないように力強く抱っこしながら困り果てた顔をした。私も出る幕がなく呆然と立ち尽くした。トゥットゥはまるで映画「エクソシスト」で悪魔に取り付かれたリーガンだった。怖い。本気で思った。何か別の病気なのではないか。ものすごく冷静になっていく自分がいた。これは緊急事態モードだった。

ことも119番。私は受話器を握っていた。受話器の向こうの医師にトゥットゥの様子を伝えた。熱と発疹の様子を尋ねられた。予防注射の有無も尋ねられた。すべて的確に述べた。「突発性発疹の可能性が高いですが…」受話器からもトゥットゥの叫び声が聞こえるようで、医師も判断に困った様子だった。結局、1時間様子を見てこのままのようなら、休日診療をやっている病院に行くように指示された。

そうして電話を切って、次に行うべき行動をジェイジェイと確認すると、二人とも落ち着いた。あとはトゥットゥが落ち着くだけだ。ジェイジェイは我慢強く泣き叫ぶトゥットゥを抱き続け、私は傍に立ち声をかけ続けた。30分すると落ち着いた。

トゥットゥ史上、一番の危機だったかもしれない。そしてそれ以降は何事もなかったかのようにいつものトゥットゥに戻った。明日、朝一で病院に連れてくわ…。





トゥットゥへの気付き
様子
今までで一番凶悪。
体調
発疹をかゆがる様子を見せる風でもなく。ただ育育児典では「『かゆみはない』などと限定的に書かれているものもありますが、赤ちゃんだから何も言わないだけで、かゆいのだろうと思います。そうでなければ、不機嫌の説明がつかないからです。」と書いてある。おそらくちりちりするとか、なんらかの不快感があるに違いない。
食事
食欲は戻ってきた。