2014年12月6日土曜日

義弟さん、はじめまして!

今日は妹ヤマナちゃんの婚約者との初顔合わせの日だった。トゥットゥは午前中はいつものようにボーイッシュな紺ボーダーにジーンズ柄レギンスを着ていたが、少しおめかしして紺のワンピースを着させた。寒いだろうからとミントグリーンのクルーネックのカーディガンも羽織らせる。ワンピースがAラインのためカーディガンの上のボタンだけ留めるつもりだったのが、

「ボタンッ、ボタンッ」

トゥットゥは下のボタンに手を伸ばして留めようとして癇癪をおこしかけた。全て留めるようにトゥットゥから指示と捉え対応した。靴は赤のスニーカーかモスグリーンの迷彩柄のスニーカーの2足しかもっておらず、今日の格好には不釣合いだったが、それでもどちらかと言えばカーディガンに合わせてモスグリーンのほうがまとまりがよいため、そちらをはかせようとした。

「あか、あか!」

もう癇癪を起こしている。そこまで指示をするのか。ジェイジェイはとりあえず赤をはかせて、玄関の外をしばらく歩かせた後、「じゃあ、次はミドリを履こうね。」と誘導した。これはたいしたもんだと思った。トゥットゥは無事ミドリのスニーカーをはいた。





有楽町イトシアのイタリアン・コルティブォーノを予約してくれており、待ち合わせの時間10分前に到着した。すでに駅前にヤマナちゃんと彼の姿があった。

「はじめまして、こんにちは~!」

彼はサトシさんと言った(以降、サトさんよ呼ぶ)。すでに妹から母からといろいろと話を聞いているので、初めての感じがしなかった。佇まいが昔から私たちの家族のような感じといおうか。「嵐の大野くんと字が一緒です。」と自己紹介があったが、私の中ではポケモンのカタカナの「サトシ」に変換されていた。彼は接客業らしくおしゃれが上手で、柔和な雰囲気で第一印象も名前の掴みもOKだった。ゲットだぜ!

トゥットゥはこの時のために、昨日風呂の中でジェイジェイに挨拶を特訓されていた。

「ヤマナちゃん、おめでとう」

たったこれだけなのだが、どうも「ヤマナちゃん」というのが言いにくいのか、2ワードを一度に覚えられないのか、高確率で「おめでとう」だけになってしまった。最近文章風に話せるようになったとはいえ、あまり聞き覚えのない単語は難しいのかもしれない。折を見てヤマナちゃんも写真を見せて教えているのだが、ペンペンのおばあちゃん(デコ母)のように動画を撮る必要があるのかもしれない。

改めて風呂上りに私とジェイジェイが交互に復唱するように言うと、

「ナぉちゃん、おめっとぅ…」

稀な成功度で、しかも小声でしか言えなかった。そのうちトゥットゥはジェイジェイのノートパソコンの前に行き、ふたを開け、「あんぱんまん」と言い始めた。これはパソコンで動画が見たいということだ。「『ヤマナちゃん、おめでとう』が言えたらね。」と条件をつけると、早く見せてよといわんばかりの投げやりさで、

「めーとー。めーとー。」

と言った。いろんな意味で失敗。

というわけで訓練は徒労に終わり、この日ヤマナちゃんとサトシさんと会っても、そもそも人見知りなトゥットゥは予想通り視線をどこにも合わせない、まるでダシ汁のような薄い対応だった。これは緊張している証拠であるので許してほしいと二人に謝った。それでも二人はトゥットゥを可愛い、可愛いと言ってベビーカーを覗き込んでくれた。





お店ではティエティエ一家も一緒の1時半開始の会食であった。本来ならサトシさんを囲んで、サトシさん中心に会話を回していかなければならないのだが、なんせちびっこトゥットゥがいるため私とジェイジェイはお昼寝の時間にぶちあたって不機嫌なトゥットゥを必死であやした。

料理がくるまではオヤツを与えた。一人でおやつを食べきろうとしていたので、ター君にあげるように言った。「あ、忘れてた。」というような感じで、一枚だけおせんべいをター君に手渡した。食事が始まると、トゥットゥはフォカッチャ(パン)をもくもく食べた。私のミネストローネを奪ってスプーンですくって飲んだ。パンくずやスープを散らかす度に私はトゥットゥとテーブルを拭いた。そのうち眠たくなると「ごっそさんでった。(ごちそうさまでした)」と言い、ジェイジェイに「だっこして。」と言い始めた。私たちはトゥットゥを抱っこして離席しては、新幹線が見下ろせる場所まで行き、それでトゥットゥの機嫌が持ち直す。それを夫婦交互で行った。

そんな状況サトシさんと話せた内容としては、漫画「MASTERキートン」についてだった。ヤマナちゃんが、サトシさんは「週刊少年ジャンプ」を通ってないため、世代が近くでもマンガの思い出が共有できないと嘆いたものの、「でも、『マスターキートン』は大丈夫。お姉ちゃん、通じるよ!」と言ってくれたからだ。

「先日でた『MASTERキートン Reマスター』買いました?」
「ええ、もちろんです。今持ってます。」
「おー! 面白いですよねー。」

今振り返ると、私から振った話題はこれだけだったではなかろうか。本当であれば、20年ぶりの出版となる今作は主人公登場が1巻のオマージュになっているとか、もっとマニアな話をしたかったけれど…。あとはティエティエ中心に最後に少しだけ職場や通勤の話に参加しただけだろうか。おしゃべりな私がこれだけ!? 決してサトシさんに興味がないというわけではなく、それだけトゥットゥにかかりきりだったのだ。でも私という人間のエッセンスはほとんど「マスターキートン」に詰まっているので、それで十分だと思った。

その点、ユキちゃんは立派だった。ヤマナちゃんになれそめや結婚のきっかけを切り込んでいた。普通女子(?)であるなら、このあたりの話題はマストだろうと思うのだが、私自身、恋バナにあまり興味がないため、どうもそのインタビュー視点がいつも抜け落ちるのだ。そしてジェイジェイやティエティエも、硬派な男性であるがゆえに、こういったオフィシャルな場でその手の話題をスマートに聞き出すような話術は持っていない。よってユキちゃんがカバーしてくれたことをありがたく思った。





私にとってはてんやわんやの会食だったが、ヤマナちゃんはサトシさんを選んだのは「当たり」だろうと直感的に思った。ヤマナちゃんの末っ子特有の難しさ、兄弟を観察するがゆえに要領がよくしっかりしているところと、そうはいっても基本は甘えん坊なのでできればやってもらいたいと思っているところ、この性質の綱引きが実に繊細で、私は姉妹で二人暮らししている時それに寄り添うのに苦労した。きっと柔和なサトシさんならその辺りをうまくコントロールできるだろう。きっとヤマナちゃんと話し合いながら力を合わせて家庭を築けるだろう。どちらかが主導権を握るというよりも、両輪だろう。

おめでとう。これからが長いよ。しっかりね。たった結婚2年の少しだけ先輩の立場であるが、若夫婦にエールを送りたい。





トゥットゥへの気付き
様子
出かける前に財布の中身を整理していると「おかね、どうぞ」といって、エア小銭をくれた。おかね、わかるのね…。
体調
昼食が昼寝時間に当たっていたこともあり、機嫌と睡魔が戦っていたようだった。夕食の大好きなお好み焼きも食べずに19時に就寝。おつかれさまでした。
食事
せっかく大好きな海老のパスタを頼んだのに、お菓子でお腹が膨れてあえなくリタイア。