2014年12月29日月曜日

インフルエンザ戦記

12月25日(木)。あと一日で今年も会社も終わるというめでたいクリスマスの日だった。11時過ぎ、会議中の私の元に一本の電話が入る。

「トゥットゥちゃん、お熱が38度あります。お迎えにこれますか。」

朝36度0分だったじゃないの。予兆なしでこれか。この時期に38度といったら、もうあれしかない。インフルエンザだ。

そういえば22日(月)朝、長く休んでいた子が登園してきて、先生が声をかけていた。「インフルエンザ大変でしたね。」 この子のせいとは特定はできないが、少なくとも保育園の部屋にはウイルスが舞っていたわけだ。罹患は納得である。前回トゥットゥはインフルエンザを免れたジェイジェイも免れた。なんとなく3度目はないだろうなと思い、電話を切った。会議メンバーは私のやり取りを聞いていたようで、「ご愁傷様です。」と言い、気持ちよく娘の迎えに送り出してくれた。これが仕事納めになろうとは。

約1時間後、保育園に到着するとトゥットゥは保健室で爆睡中だった。常駐の看護師の方が「先ほど熱が39度になりました。インフルエンザが流行っています。検査をお願いします。」と言われた。検査するのはよいが、木曜日はかかりつけの小児科医が休みだ。木曜午後に受診可能な小児科はないか尋ねたところ、私の家の近所の小児科医をすぐにピックアップしてくれた。ありがたいことである。

保育園も明日が登園納めだったが、インフルエンザであろうがなかろうが、今日これだけの熱があるのであれば明日の登園は無理である。それを保育士の先生方も皆感じ取っていて、「今年もありがとうございました。よいお年を。」と挨拶しあった。

寝ているトゥットゥをベビーカーに運ぼうとすると、高熱で眠りが浅かったらしくすぐに目を覚ました。うれしそうに「おかーしゃ」とつぶやいて、おとなしくベビーカーに乗った。ぐったりしていると思ったが意外とおしゃべりを続けるので元気そうだと安心した。





トゥットゥは家に着くと16時過ぎまで昼寝をした。こんなに熱いのに眠れるのか。子供の体力はすごいな。自分がインフルエンザにかかった時を思い出した。昼寝から覚めるとジュースを飲まし、病院に連れて行くことにした。初めての病院だ。少しドキドキした。トゥットゥの熱をはかると39度5分あり、きっと寒気がするだろうからとたくさん着込ませた。

病院に到着し、待合室に入ると大人が3名ほどいた。これなら早く検査して薬をもらって帰れそうだぞ。そう思った矢先、受付から意外な申し出があった。

「うちは小児科と銘打ってますが、このとおり(待合室を見渡し)大人ばかりなんです。しばらく1歳児は見ておりませんが、それでも大丈夫ですか?」

え、待合室に絵本や玩具が置いてあるよ。それにこの先生、近所の保育園(私が第一希望だった歩いて3分の保育園)の内科検診医じゃなかったけ? いろんなことが頭を駆け巡ったが、今日は私たちが通える範囲でこの病院以外は空いていないのだ。かかりつけが本日休みであること、インフルエンザの検査が目的であることを受付に伝え、その条件を飲むことにした。するとまたもや意外な申し出が。

「受診は1時間半後となりますがよろしいですか?」

え、待合室に患者さん3人しかいないのにそんなに待つの? どうも話を聞くと、患者さんは診察の予約を入れて電話で呼び出してもらっているようであった。確かにインフルエンザの流行っている時期、菌やらウイルスが蔓延している場所で待ちたくはないわな。一旦自宅に帰り、電話で呼び出してもらうことをOKして、一度退散した。

家に帰って約40分後、思ったより早く電話がかかってきた。17時半。出かけるとすぐに診察室に呼び出しをうけた。やさしそうな先生だ。受付と同じ説明を自らされ、インフルエンザの検査はするが、心配なら明日かかりつけに行くようにと言われた。トゥットゥはおとなしくしていたが鼻の奥に綿棒をつっこまれ、「ぎゃあ!」とひとしきり泣いた。検査を待つ間、感染予防のために小さなマスクが渡されてトゥットゥの耳にかけた。熱い体を抱え、電車の本を一緒に読みながら待っていると、10分後、検査結果が出た。

インフルエンザ陽性。




薬が処方される段階となり、最初吸引型のイナビルを処方してくれようとしたようで、薬のパンフレットが手渡された。ところがすぐにタミフルのパンフレットと取り替えられた。

「吸引型の薬はまだ幼いので難しいです。そこで経口型になるわけですが、処方できるのはタミフルになります。飲ませますか?飲ませないという選択肢もあります。」

タミフル摂取で疑われる異常行動により飲ませたくないという人もいるため、選択肢を与えているのだろう。しかしそれはタミフルではなくインフルエンザそのものによる異常行動である可能性が高いことを知っており、且つ自分がインフルエンザにかかった時のしんどさを思い出し、トゥットゥには早くよくなってもらいたいと思ったことから、タミフルを処方してもらうことにした。

「薬を飲ませるのであれば、今日ここにこられて正解でしたね。明日かかりつけ医であれば遅い可能性もありますので。きっちり5日間、最後まで飲ませてくださいね。」

そう言ってくれて、イレギュラーだったものの私の判断が正しかったのだと思って少しうれしかった。

しかし問題は薬局だった。この病院を出てあたりを見回すが薬局が見当たらない。いつものかかりつけ薬局に行くべきか。時刻は18時。遠かったがそこに向かった。しかしせっかく行ったものの本日休み。そうか、かかりつけの小児科と連動しているのか。ベビーカーを押しながら家に近所に「大学病院の処方も受け付けます。」と書かれた薬局を思い出した。そこに行ってみよう。

しかしそこもハズレだった。耳鼻科併設の薬局だったのだ。タミフルや解熱剤が置いてあるわけがない。丁重に断られて、別の薬局を教えてもらった。寒い中トゥットゥにつき合わせて悪いな。薬を手に入れたのは19時近くだった。トゥットゥも私も本当に一日ご苦労様。





インフルエンザとは言うがトゥットゥが意外と元気なのには驚いた。「散歩する。」と言って退屈しのぎに外に出ようとし(もちろん必死で止めたが)、「アンパンマン見る。(YouTube動画)」「ミッキーちゃん、遊ぶ(人形遊び)。」「ありのままのー!(「アナと雪の女王」を見る!)」と言って、平日家の中ですごすように振舞った。夜も熱が38度以上もあるのに、解熱剤を飲まなくても一度も目を覚ますことなく眠った。しかし調子が悪いのは自分でもわかっているようで、私たち親の姿が見えなくなると泣きながら必死で探して甘えた。この甘えっぷりも実に勢いがあってよかった。

そもそも子どもはインフルエンザにかかっても元気なのか。不思議に思い、私の持つ子どもの病気の辞典、育育児典のインフルエンザの項を読んだ。そこには次のようなことが書かれていた。

「インフルエンザはただの風邪。恐ろしい病気になったのは国のキャンペーンのせい。」
「タミフルは高価な薬で、世界では呼吸器に疾患のある人、高齢者にしか処方されない。」
「全世界でタミフル消費の8割は日本。」
「抗生物質を乱用すると耐性菌が生まれてくるように、抗ウイルス薬とインフルエンザについても同じことが考えられる。」
「熱が下がるのが一日くらい早くなるという効果だけで、タミフルを飲ませるのはいかがなものか。」

これを読んで先生の「薬を飲まない」という選択肢を出されたことがじわじわと効いてきた。飲ませなくてもいいのか?確かに元気だ。自然に治るのを待つほうがいいか。しかし高熱で脳症になるのが一番のリスクだ。早く熱は下げたい。悩んだ末に医者に言われたとおり毎日朝晩タミフルを飲ませることにした。

最初はジュースで飲ませようとしたが、苦くなるらしく一口でアウト。インターネットで検索した結果チョコレートアイスのほろ苦さが薬の苦さを隠してOKとのことだったので、急いでコンビニにチョコレートアイスを買いに走った。トゥットゥはチョコレートが好きなので、薬を混ぜたアイスクリームをなんなくクリアした。

25日(木)に発症して、26日(金)、27日(土)と熱があったが、27日(土)の夜には治まり、28日(日)には熱が引いた。





振り返りとして。

私もジェイジェイもインフルエンザに罹患しなかった。理由として
・マスク、手洗いの完全防備の5日間生活だった
・ダイニングと寝室にクレベリンゲル(空間のウイルス除去、除菌)がある
・二人とも以前インフルエンザA型にかかったことがある

今回よかったこととして、トゥットゥにインフルエンザA型の免疫ができたこと。予防接種の効き目が1シーズンと考えると、数十年持つ免疫のほうが効果は高い。しかしインフルエンザ亜種対応は難しいため(現に私が社会人になって2回やっている)、幼児の脳症のリスクを考えると、中学校に上がるまでは予防接種したほうがよいと思われる。

来年はトゥットゥにするぞ。予防接種。





トゥットゥへの気付き
様子
マイブームワード。
「じぶんで」:自分一人でやりたいとき
「トゥットゥも」:自分も同じことをやりたいとき、同じものが欲しいとき
「いっしょに」:親と一緒にやりたいとき(主にDVDを見る時)
「つないで」:手をつなぐとき。裏の言葉に「いっしょに」がある
体調
ここにも書いたが教科書どおりのインフルエンザ経過と思われる。
食事
チョコレートアイスがお気に入りとなった。薬入りだけどね。