2015年1月4日日曜日

おかーしゃ、いなない

トゥットゥはインフルエンザを乗り越え、年末年始はなんとか千葉のサチ母の家に行けることになった。30日(火)、いざ出発となると、家事を取り仕切る女はいろいろ気になるもので、小玉電球がつけっぱなしだとか、あそこのコンセントを抜こうだとか、あれは片付けておこうとか、直前でバタバタしてしまうのがいつものことだ。私も例に漏れず、直前で何度も玄関と部屋を行き来してしまい、終いにはジェイジェイとトゥットゥを先に駅に向かわせて、後で追いかけることになった。

後からジェイジェイに聞くところによると、駅前で私を待っていたトゥットゥは殊勝にも

「おかーしゃ、いないねぇ。おかーしゃ、おかーしゃ。」

と言っていたそうだ。私の前ではいつも「とーたん、とーたん」とジェイジェイ贔屓なのに可愛いやつだなあ。もう。

千葉のサチ母の家は、基本春の彼岸、じいじの命日、お盆、秋のお彼岸、年末年始の年5回、泊まりに行く。今年は文化の日も泊まりに行った。そういったわけで、記憶の定着もしっかりしているようで、トゥットゥは到着した早々まるで自宅のように振舞った。玄関に入ると傘立ての傘を指差して「しんかんしぇん。」 これは自分用の新幹線の傘があるからだ。傘を杖のようにして家に入ると、まずは仏壇のおじいちゃんへのご挨拶を難なくクリア。その後、仏間にしまってあるキティちゃんのドールハウスを探し当て、「キティ、キティ!」と騒ぎ始める。早速サチ母にそれを取り出させ、居間に持っていって遊び始めた。ここではトゥットゥはプリンセスなのだった。

私たち夫婦はと言うと、去年、一昨年と成田山に元旦に初詣に行った。というのもジェイジェイが厄だったからだ。厄払いを終え、今年は無理に成田山に行くことはなかったが、私が常日頃から「香取神宮に行ってみたい」と言っていたので、成田駅のもう少し先にある香取駅まででかけることにした。昨年の成田山参拝時のようにプリンセス・トゥットゥはサチ母にお願いして。





元旦。トゥットゥが目を覚ます前、朝7時半に家を出て行くつもりだったのが、私の身支度が遅くて1時間ずれ込むこと。それでもトゥットゥはまだ寝ていた。そしてジェイジェイが調べてくれた香取神宮への行き方、香取駅手前の佐原駅からバスで向かう、が三が日は有効でないことに駅を降りて気付く。「香取神宮へ行くの? 三が日はバスは休みだよ。香取駅でシャトルバスが出ているから。」交番のお巡りさんに教えてもらった。行く前からいろいろとアクシデントだ。

香取駅は神宮をイメージしてか新しい朱塗りの無人駅だった。初詣で利用客が増えるためか、この日は駅員が2名ほど座っていた。香取神宮までシャトルバスに乗って所要時間10分。バスを下ろしてもらい脇道から表参道に入ると大勢の人が並んでいた。時間は10時半頃。その行列に並んで本殿まで到着するのに30分かかった。

私の認識では20年くらい前に訪れた鹿島神宮と兄弟みたいなもので(実際に利根川を挟んで建っている)、同じように強くまっすぐな気を発しているものだと思った。なんといっても経津主神(ふつぬしのかみ)という剣の神様だ。ところが目の前に現れたのは根津神社にも似た壮麗な建物。整理された、理知的なパワーという印象だった。

家内安全、そして思いつく親族皆の健康をお願いをして、おみくじを引いた。ジェイジェイ、3年ぶりくらいの大吉!私は末吉。自分で動くなだって。微妙…。そもそも朝のアクシデントが一年の始まりを物語っているような気がした。境内を散策しているとパワースポットの要石に行き着いたのはラッキーだったのだが。

香取にはお昼を食べるような場所もなく、仕方なく成田に寄ることにした。ジェイジェイのおごりで川豊(別館)のうなぎを食べて、せっかくだからと夕方の成田山詣でをすることに。そしてお留守番している二人、サチ母には杉養蜂場のハチミツとナスのわさび漬け、トゥットゥには熊の人形焼き、成田山土産を持って帰路についた。お昼過ぎに帰るはずが結局一日がかりの外出となった。





成田から携帯メールでサチ母にトゥットゥの様子を聞くと、家事をしようとすると「ばぁば、ばぁば」とまとわりついて何一つできないが、基本一緒に遊んでいるといい子にしているとのことだった。私たちがいなくてもうまくやっているのだ、さすがサチ母だと頼もしくそしてありがたく思った。

18時過ぎに家に着くと、トゥットゥは玄関で待っていてくれた。サチ母に抱っこされて「おかえりー」と言ってくれた。私たちの顔を見て嬉しそうな顔をした。そしてジェイジェイを見るなり「おとーたん、抱っこ!」と言った。抱っこ係は誰よりもジェイジェイだ。やはり長い時間離れていても役割は変わらないのだなと思った。

居間に行くとサチ母に留守番のお礼を言いお土産を渡した。そしてジェイジェイに抱っこされたトゥットゥにも「お留守番ありがとうね。これお土産だよ。」と言って、熊の人形焼きを渡そうとした。

「いなない(いらない)。」

そっぽを向いた。ジェイジェイが「お母さんが買ってくれたんだよー。美味しいよー。」と人形焼きを袋から出して口ぞえをしてくれた。

「いなない。」

そうか、今はいらないのか。サチ母とのお留守番で美味しいお菓子をたくさん食べたんだな。それくらいに思った。

「おかーしゃ、いなない。」

…? 今、私がいらないと聞こえたが。トゥットゥは私から目を背けながらもう一度繰り返した。

「おかーしゃ、いなない。」

ああ、これはお盆の再来か。以前はまだ言葉が出なかったので、目を合わせないという当時の私にとっては理解できない行動をとったが、言葉が出るようになったらその意味がよくわかる。

拗ねているのだ。サチ母に思う存分遊んでもらい美味しいものを食べさせてもらって楽しい思いをしても、どうしてお父さんとお母さんがいないのか、朝目を覚ましてから一生懸命考えていたのだ。サチ母のところに行く前にジェイジェイと二人で私を待つとき「おかーしゃ、いないねぇ。」と言ったというのを思い出した。彼女にとって私は当たり前にいるものなのだろう。それが保育園以外でいないというのは、まだ理解できない。不安だったろうなあ。ゴメン、トゥットゥ。もっと歩けるようになったら一緒に遠くに外出しよう。

夕飯を食べる頃には機嫌を直してくれたのでよかった。





結局12月30日から1月4日までお世話になり、トゥットゥはサチ母にお年玉をもらったばかりか、ディズニーストアで「ありのままの!」の人形(エルサ)を買ってもらっていた。








トゥットゥへの気付き
様子
ジェイジェイの従兄弟の娘さんと遊んでもらい、子分気分でおおはしゃぎ。1月1日、2日と昼寝をしない日が続いた。すごい。
体調
千葉に行った12月30日はまだ顔色がよくなかったが、31日は頬がばら色になった。
食事
サチ母に美味しい料理を作ってもらっても、落ち着くところはしらすご飯。しらすが大好き。