そうしておとなしくさせて荷物の底のほうまで見ると、玩具屋のビニール袋に包まれたものが入っていた。もしや…。ガサガサと急ぐように包みを開けた。
VERYリカちゃん!
それはトゥットゥの誕生日プレゼントの候補に上げていたお人形だった。私が雑誌VERYで雑誌コラボしたリカちゃんを見かけて興味を持ったのだ。チュール付きティファニーブルーのサテンワンピース。なんてVERYなコンサバ仕様。雑誌には他にもお着替えでボーダーセーターセット、紺ワンピースセット、トレンチコートセットが掲載されており、それらをごっこ遊びの際に状況別に組み合わせて子どもがコーディネートを学ぶのが目的なんだそうな(と箱に書いてあった)。コーディネートを学ぶ? それは大義名分で、きっとお母さん世代の人が欲しいと思うリカちゃんなんだろうと思った。現に私が欲しいと思ったもの。
私は幼稚園の頃、リカちゃん人形を持っていなかった。周りの女の子はほとんど持っていたにもかかわらず、だ。なんでもデコ母があまり好きではない(可愛いとは思えない)ことに起因すると幼心で認識していた。幼い子どもにとっては親の価値観は絶対なので(今思い出すと神にも匹敵する!)、「確かに他にも可愛いものいっぱいあるしなー。」と信じた。リカちゃん人形の代わりといってはなんだが、私はパンダのぬいぐるみを可愛がっていて、空き箱でドールハウスを作って、曲がるストローをシャワーに、マーガリンの空き容器をバスタブに見立てて、満足していたなあ。貧乏な子だ(笑)。
幼稚園の頃は友達の家に遊びに行くとリカちゃん人形は何体かあるので貸してもらって遊んだ。小学生に上がると人形を持っていないからと放課後の遊びの仲間に入れてもらえないこともあったが、私はそれでしょげるような性格ではなく、他のことをして遊ぶまでだった。ただいろんな洋服に着せ替えさせる甘美な体験は今でも忘れない。やっぱりどこかで欲しいと思っていたのかもしれない。だからこそ、雑誌でリカちゃんにひかれたのだろう。
デコ母はお人形に加え、トレンチコートセットをつけてくれていた。実家に帰省して一緒に選んだと思われるヤマナちゃんは西海岸のバーガーショップ店員のようなコスチュームをつけてくれていた。トゥットゥ宛てのプレゼントではあるが、すごくうれしかった。
そんなことを考えながら、いそいそとリカちゃんを包装から出した。
「リカちゃんだよー」
トゥットゥにリカちゃんを手渡そうとした。
「ちょっと待て。」
よく見ると彼女の手はベタベタしていた。手元を見ると皮を剥かれたミカンが落ちていた。え、ミカン剥いたの? 袋は食べたの?? 白い筋はも食べたの??? そういえば私がリカちゃんに夢中になって包装紙から出しているとき、一人で「ミカン、ミカン」と騒いでいた。それでおとなしくさせようとして、ミカンを手渡したところまでは覚えている。嗚呼、全部食べたのか。花より団子。
おしゃべりのパワーアップしたトゥットゥはすぐにこの人形が「リカちゃん」という名前であることを理解し、直後のお礼の電話でも
「リカちゃん、ありがとー」
すぐに電話口で私の言葉を真似て言うことができた。
電話が終わり、私がリカちゃんを着替えさして遊んでいると、何をする人形かも理解したようで、自分でコートを着せたり、スカートをはかせようとしたりした。もちろんまだそこまで手先が器用ではないのでやろうとして終わったのだけれど。タイツの上からサンダルがはけないことを不思議がって、私に「くつ、はけないね~」と何度も言ってくるので、「サンダルは裸足でないと履けないよ。タイツの場合はブーツを履かせてね。」と伝えた。少し残念そうな顔をして代わりにブーツを手にとった。寝る前に人遊び。
デコ母、ヤマナちゃん、ありがとうございました。
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トゥットゥへの気付き
様子
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お昼にジェイジェイとお散歩。なぜかコインパーキングが気に入ったようで、後で合流したときは狂ったようにパーキング内をぐるぐる走り回っていた。コインパーキングの車止めに座ろうとするので、「それは車が座る椅子だよ。トゥットゥの椅子じゃないよ。」と伝えた。
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体調
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下剤でうんち好調。散歩中にしっかりやらかして、おむつを替えようと誘っても、散歩(遊ぶこと)に夢中で帰りゃしない。臭いトゥットゥを最後まで面倒見てくれたのはジェイジェイでした。ありがとう。
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食事
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ジェイジェイの食事当番。朝からおでんを煮込む。トゥットゥはたこボールが大好き。
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