日記には書かなかったのだが、12月13日(土)、私が靴のファミリーセールに行った日、ジェイジェイにもうすぐなくなる下剤をもらいにトゥットゥを病院に連れていってもらった。初めての男親の小児科。私は紙にトゥットゥの最近の排便の様子、薬の量を細かに書いた。それを伝えてもらったうえで、酸化マグネシウムと下剤の飲み方、そして量の減らし方を教えてもらってくるようにお願いした。
ところがだ。ジェイジェイは初めての小児科デビューで大目玉をくらうことになる。
「どうして下剤を止めてしまうんですか!そんな状態なら毎日飲ませないとダメでしょう!!」
ジェイジェイによると、8月末の便秘の初診からお世話になっている女医のA先生にこんな強い調子で叱責されたらしい。大先生じゃないもの。女性のA先生ならそんなに怖くないよと思ったが、大人になって叱られるのはかなりショックなことであるのは私でもわかる。ジェイジェイはすっかり怯えてしまい、何度も何度も「A先生は怖い。もう小児科には行かない。」と言った。それでは親はやってられないよ。まったく(苦笑)。
私だってA先生に言いたいことはある。下剤は止めたんじゃない。減らそうと調整したらこういう状態(再び便秘になる)になってしまったんだ。いつまでも薬を飲ませろって言うのか。あんたら医者は対処療法しかできないくせに偉そうなこと言うんじゃないよ。私もジェイジェイの話を聞いて、かなり腹が立った。しかし現に便秘で苦しんでいるのはトゥットゥで、私の薬の調整が明らかに失敗しているのだから、まずは指導のとおり毎日下剤は飲ませることにした。この時、酸化マグネシウムは飲まなくてもよいことになった。
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12月の診察以来、下剤は毎晩寝る前に6滴飲ませた。6滴飲ませれば大概トゥットゥは次の日にはうんちが出る。この下剤はだいたい7~12時間後に効くと言われ、丁度起床した頃となる。すると毎朝、トゥットゥは顔をしかめて、
「おなかがいたい」
と言うようになった。明らかに下剤が効いているのだ。しかし朝、慌しい家でうんちをすることはなく、保育園でうんちをした。ずいぶん苦しそうにうんちをすると保育園の連絡帳には書かれてあった。そして12月20-21日に箱根旅行に行って、それによって下剤を飲まない日が3日も続いてしまった。保育園再開に際し、前の晩に6滴飲ませるも、園では苦しそうに硬いうんちを1個程度するのみとなってしまった。
意を決して、初めて下剤を7滴飲ませた。明け方うんち臭さで目が覚めた。トゥットゥは寝たまま無意識で排便をしてしまったのだ。もちろんトゥットゥはすやすや寝ているが、彼女のパジャマはもちろん、布団が大惨事になっていた。7滴では効きすぎたのだ。目の前の大惨事より、トゥットゥの体に負担をかけていることが可哀想で可哀想で泣けてきてしまった。
年が明けると最大6滴を続けた。しかしトゥットゥは排便が恐怖になっているようで、6滴飲ませても出そうとしない日が続いた。保育園では排便できず、家に帰って夕方私やジェイジェイに手を握ってもらい、泣きながら排便をすることを繰り返した。本当に可哀想だった。
そんな最中、私は腰痛で整骨院へ行った。そこで大先生にふと娘の便秘の話をしたのだ。すると整骨院の先生は次のように言った。
「この前、小学3年生の腸閉塞気味の子、治療したばかりなんだ。その子は体のゆがみからきている感じだったんだよね。一度娘さん連れてきてよ。バランスを見てあげる。マッサージでなんとかなるかもしれないしね。」
2014年1月過ぎから悩み続けた便秘。お腹のマッサージや足を動かす体操は当然のことながら、ヨーグルトやプルーン、マルツエキスや青汁といった食品でのりきった前半。好き嫌いがひどくなり下剤で凌いだ後半。1年後にしてようやく別の光が当てられた気がした。子どもの健康のためならそれが効くときけばなんでも試してみたいのは親心。本当に藁にもすがる気持ちで整骨院にかかってみることにした。
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1月末。初めて整骨院に連れていった日(「トゥットゥへの気付き」にて)。恐怖でベッドの上で固まっていたけれど、私がずっと手を握っていたら落ち着いたようだった。なにより明るい整骨院の雰囲気や、やさしい先生たちに和まされて、怖いところではないと理解したようだった。
「少し右にねじれてるね。あと普通便秘だと左側のほうが詰まった感じになるんだけれど、この子は右側のほうが詰まっているね。ちょうど小腸と大腸のつなぎ目あたりかな。」
最初はお腹を左右に挟んで歪みを直すようにゆっくりとマッサージ。そしてベビーマッサージであれば「『の』の字を描くように。」と指導されるが、先生は右下腹の詰まっている部分からゆっくりと肋骨の真下を通って左下腹まで大きな円を描いた。これを何度も繰り返した。
「あと体が全体的に開いている。肩が上に上がっている感じね。この子、ひきつけるように息をすることがあるでしょう。あれ。もっと重心が下にあるといいね。」
今度は鎖骨の真ん中から胸の中心部を通って、鳩尾あたりでおへそを挟むように何度も指を沿わせた。そして体のねじれを直すように足の先を持って骨盤を回転させせるような動き。左右のバランスを整えているらしい。最後は仙骨の便秘のツボ(腸のぜん動運動を促すツボ)を刺激してフィニッシュ。
その日の晩、トゥットゥはすぐに
「うんちする」
と言って、お風呂前にうんちをした。実にいいうんちだった。効き目を確信した。
その後、一度どうしようもなくて浣腸をしたものの、下剤の量を減らし、毎晩5滴の下剤と毎日整骨院マッサージ。毎晩5滴の下剤と隔日の整骨院マッサージ。毎晩4滴の下剤と隔日の整骨院マッサージ。プロのマッサージのない日は私が見よう見真似で同じマッサージを約10分かけて行っている。いまのところ好調だ。
トゥットゥは「ぐるぐるの先生(お腹をぐるぐるマッサージしてくれる先生)」と言って、通うのを楽しみにしている。
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14日、今度こそ下剤の量の減らし方を教えてもらおうと再び小児科に行った。
「整骨院のマッサージと下剤が効いているならいいんじゃないですか。お薬がなくなったのなら処方しますが。」
と前出のA先生は言った。それで診察は終わりそうな雰囲気だった。先生は「まだ何か?」というような顔で私とトゥットゥを見た。
まだあるよ、薬の減らし方だよ! 前回(12月)や前々回(9月末)はまだ薬を減らすどころではないためにそれに言及しなくても別によかったのだが、「いいんじゃないですか。」と言うなら、続きがあるだろうに。こちらから聞かないと教えてくれないんだな、普通のサービス業だと顧客失うよ、この人、と思った。私は持ってきた質問メモを見ながら先生に薬の減らし方を尋ねた。
「そうですね。下剤は便がゆるくなったり、一日何度も出るようになったら、1滴ずつ減らしていってください。」
もう一つ、整骨院の先生に右下腹が詰まり気味であることを言われたと伝えた。以前、薬が効かないなど腸に異常があるようなら大病院を紹介しますと言われたからだ。
「ははッ!小腸と大腸の継ぎ目には袋がありまして、そこに一旦うんちが溜まることになるんです。詰まると感じるのはそれだと思いますし、私たち医者でも腸の異常は触診だけではわかりませんから。」
少し呆れ顔で言った。おそらく「整骨院の先生風情が何言ってるのよ。」といった感じなのだろう。もう一つ整骨院の先生に勧められた腸内環境を整えるサプリメントなどは子どもにとってどうなのかも効いてみた。例えばマメビオのような土壌菌だ。
「ヨーグルトなどは薬の前の基本中の基本ですよね。サプリメントは子供用でしたら特に止めましませんが、必要だとも思いませんよ。日常の食生活が一番ですから。」
少しその言い方にカチンときた。「日常の食生活が一番」というのは誰もが知っている。ただ病院に来るというのは、それが断たれた状態であること、最後の手段で来ていることを知っているのだろうか。整骨院まで行くということはどういう状態であるのかわかっているのだろうか。貴方の処方した薬だけだとダメだったんだよ。サプリメントまで飲もうかって思いつめているんだよ。大病院に行く必要があるかそれを判断してほしかったんだよ。
そんな思いをぐっと飲み込んで、結局、単刀直入に聞いた。
「今の話を総合すると、この子は大病院で検査する必要はないということですね。」
「今のところ必要ありません。」
安心した。
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私はきっとトゥットゥの便秘をめぐる自分の苦労を、目の前のA先生に認めてほしかったんだろうなと思った。それはきっと夫frも、自分の親でも、保育園の先生でも、お母さん友達でも、会社の同僚でもダメで、専門家の先生、しかも経緯を知っているA先生でないとダメなのだと思う。なぜならその問題は私一人が背負っているような気になっていて、唯一その先生は私と同じレベル、もしくはそれ以上の意識で問題共有していると信じているからだ。だから先生の返答にいろいろと期待したのだ。ちょっと恥ずかしくなった。
ふとモンスターペアレントと呼ばれてしまう親御さんについても私のような状態がエスカレートした人たちではなかろうかと思った。怒りの矛先はきっと「よく頑張ってますね」「一緒に頑張りましょう」、これを言ってもらいたい人なのではないか。親も人間である。モンスターではない。自分ひとりで苦労を背負ったように思い込む状態が危険なのだろう。自分のように比較的サポートが多いと感じていても、子に対する責任感により母親とはなんと孤独に追い詰められるものなのか。
子を育てる上でもちろん親が一番重要な役割を担うのは当然であるが、それでも皆で育てるという感覚もどこかで必要なのではないかと今回の一件で思った。親戚や地域の人はもちろんであるが、それが公共サービスの保育園の先生や学校の先生、普通のサービス提供者であるお医者さん、整骨院の先生も。とにかく子どもに関わる人みんな。私自身も追い詰められないためにもそういった緩い感覚を持っていたいと思うし、他人の子にもそういう目を向けていたいと思う。
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トゥットゥへの気付き
様子
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整骨院にある葛飾北斎の妖怪図鑑を見る。私は「妖怪ウォッチだよ」と教える(嘘ではない)。子を食べる般若(笑い般若)が怖かったようで、何度もそのページに戻っては「こわい、こわいねぇ」と言っていた。
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体調
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マッサージを始めてからうんち絶好調。お母さんのマッサージでも効きます!
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食事
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父親の作ったカルボナーラを食べた後、「あまりおいしくないね。」と言った。副詞の使い方が絶妙なだけに(塩味が足りなかった)、フォローができなくて焦る私。
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