2015年2月22日日曜日

父親が見る子供の面倒

トゥットゥは家で過ごすのは楽しいのだろうか。会社員の私が家にいるということはそのほとんどが家事の時間に当てられる。もう2歳になったので、料理を作る時などは野菜を持ってきてもらったり、一緒にお米を研いだり、お手伝いをさせることもあるが、できることは限られているし、手早く作りたい身からすると邪魔である(ゴメンね)。するとトゥットゥは家事をする私の周りを行ったりきたりして、時に「(手を)つないで」と懇願してその場所から連れ出そうとする。彼女も彼女なりに必死なのだ。

ジェイジェイがいれば面倒を見てもらえるが、男親の家での面倒の見方など本当に片腹痛いレベルだ。最近彼は早く帰宅するようになったのだが、その際、トゥットゥにタブレットやPCで動画を見させ、自分は側でスマフォでインターネットを見たり、テレビを見たりしている。それで子供の面倒を見ているというなら父親などいらないと本気で思う。保育士のようになれ、ましてや母親のようになれと言っているのではない。できることなら一緒に絵を書いたり、ままごとをしたり、積み木やプラレールを組み立てたり、本を読んであげてほしいのだ。さもなければ、私と家事を代わってほしい。私はトゥットゥと遊ぶ時間を割いて家事をしているのだから。

ただ、自分の父親がそこまでしてくれたかと言うと、昭和の会社人間なので無論ない。19時ごろに家に帰ってきたら風呂に入って、ご飯を食べて、好きなテレビ(主に野球中継)を見る。「野球なんてつまらない。お父さんなんてつまらない。」と子供ながらに思っていた。同時に父親なんてこういうものなんだろうと思っていた。きっとジェイジェイの父親だってそうだろう。そういった父親に育てられた男性にそこまで求めるのはレベルがかなり高いのではないか。そんなことが頭をよぎる。

ただ男親は家で遊ぶのは苦手だが、外に連れ出して遊ぶのは上手なのかもしれない。私も外出といえば父親との楽しい思い出もぐっと多くなる。ジェイジェイも例に漏れずトゥットゥを外に連れ出して、お散歩したり公園で遊ぶのは上手なようだ。その証拠に外出から帰ってきた時のトゥットゥの「おかーしゃー!」とニコニコで楽しさを伝えたくて仕方ない顔。そしてジェイジェイの「面倒みてやったぜ! 俺、父親としてやってやったぞ!」という充実感あふれる顔。私はこの時の二人の顔が好きだ。お留守番の間は私はやっぱり溜まっている家事をするだけなのだけれど…。





よほどの悪天候でない限り土日はトゥットゥを連れて外へ出かけようというのが夫婦の暗黙の了解になっている。それは家族3人でもいいし、親子2人でもいい。場所も電車を乗っていくような遠くでもいいし、散歩圏内でもいい。とにかく家の中でトゥットゥが退屈しないように。なによりジェイジェイが退屈しないように。私にとってはそれが本当の理由かもしれない。

さて今週末はどこに出かけようかとなり、春らしい天気となるということで大きな公園に行くことにした。南千住の汐入公園だ。駅からはずいぶん歩くのだが、南千住の大規模な団地群が圧巻で、なんだか映画の中の光景のようで歩くのに退屈しない。芝生と噴水のあるふれあい広場(12月末~4月は水は出ておらず)、テニスコート、多目的広場の側を抜けて、公園内のさくら橋を通ると隅田川が見えてくる。そしてその向こうにはマンガ「進撃の巨人」の街を守るウォール(外壁)を思わせる白髭団地。橋を渡りきると遊具のあるエリア。ここの複合遊具がまたすごい。二つの塔があり、私の中では「ロード・オブ・ザ・リング」と呼んでいる。

前回トゥットゥを連れて行ったのは4月だったか。その時、初めて体験する汐入公園の遊具に私のほうが夢中になったが、正直トゥットゥが遊べる遊具はまだなかった。まだトゥットゥは歩くことができなかったからだ。公園の雰囲気だけでもと思って連れてきて、スプリング遊具に乗せて写真を撮るのが精一杯だった。あれから約11ヶ月。トゥットゥはどのような反応をするか楽しみだった。

最初のふれあい広場でお弁当を食べた。鳩に弁当を狙われないかひやひやしながら。トゥットゥは鳩が集まってくるのが面白いようで、おにぎりを食べ終わると追いかけまわしていたが、芝生で走るのが快感になったのか、そのうち鳩の集団を押しのけて芝生の丘をつっきってテニスコートのほうまで行ってしまった。私はトゥットゥを連れ戻しにいって、鳩がトゥットゥの近くに集まるようにおにぎりの残りの米粒を投げた。ジェイジェイはというと、トゥットゥが鳩と一緒に歩き回る様子をiPhoneで撮影していた。

昼食を終えると遊具施設に向かった。いつもならトゥットゥは「抱っこして」なのだが、この日はよく歩いてくれた。その代わり自分の行きたいところに向かうようになり、少年野球をしていた多目的広場に突っ込んでいく形となった。私はベビーカーを押しているのでそこには入れず、ジェイジェイが後を追った。しかし待てどもトゥットゥとジェイジェイは戻ってこない。多目的広場入り口に姿が見えたジェイジェイを大声で呼ぶと、トゥットゥは野球が興味あるらしく二人で外野の縁を通りながら行くとのことだった。

後でさくら橋で合流。トゥットゥは上機嫌だ。橋をわたりきったあたり、橋の袂に梅が咲いていた。私とトゥットゥで記念撮影。そしていよいよ遊具だった。私自身が「ロード・オブ・ザ・リング」な大型遊具を見るといてもたってもいられなくなり、「ちょっと遊んでくるわ。よろしく。」とジェイジェイにトゥットゥを預けた。うわ、母親失格となじられそうだ。でもこれにはわけがある。

私は大勢の子供たちに混じって遊具に上った。上から見るとジェイジェイとトゥットゥは幼い子用の滑り台で遊んでいるようだった。そう、遊びに行くふりをして二人を見てみたかったのだ。いつも二人だけで近所の公園に行くのでなかなか公園で遊んでいる様子は見られないのだ。ジェイジェイは実に根気強くトゥットゥの補助をしていた。

「この滑り台、思いのほかスピードが出てさ。なかなか滑りたがらないんだよね。
 こっちの安心遊具(おうち型の遊具。外壁に窓やひさしらしきものがある。)で遊んでばかり。
 こいつ、びびりだね。はははは。」

私が大型遊具戻ってくると、トゥットゥの遊び相手をしながら言った。トゥットゥは私を見つけると、

「ぴんぽーん、どちらさまですかー?」

と私を歓迎してくれた。そして

「おかーしゃ、クリームパン」

と言って、おうち型遊具の軒先に並べた石をくれた。ジェイジェイはよく遊んでくれているんだなあ。家では動画ばかり見せてと腹を立てていたけれど、少し見直した瞬間だった。





私は最近トゥットゥと二人で遊んだっけ? 記憶をたどってみるとあるにはある。ジェイジェイが土日に一人で出かけることがあるので、その時二人きりになる。だいたい洗濯物を干したり、掃除機をかけたりする中で、トゥットゥがいろいろと持ってくるのでしゃがんで目線を合わせて受けとってみたり、たまに作業中断しておひざに乗せて本を読んでみたり、ビデオを一緒にみたり。落ち着かない相手だ。よくよく考えてみると、トゥットゥと二人きりでゆっくりできる時間といえば保育園の帰りくらいなのだ。世の中のお母さんはどうなのだろうか。

早く帰宅できるジェイジェイは、私が夕食準備をしている間、トゥットゥと遊ぶことができる。私は夕飯の準備をしながらその理不尽さを感じる。ジェイジェイは早く帰ってこなくてもいいと思うことさえある。トゥットゥに夕飯のお手伝いをさせて、ゆっくり二人で夕飯を作りたい。しかし現実はそんなにうまくいかないのかもしれない。なぜなら今までジェイジェイが早く帰ってこないときは、トゥットゥを食卓にポツーンと座らせて、絵を描いたり、紙をちぎったり、人形で遊んだり、本を読んだりするのを片手間で相手していただけではないか。それをかわいそうだと思わなかったか。

家族運営にはどうしても家事が付きまとう。片方が家事をしている間、片方が小さな子供の相手。ここを公平にしたい。しかしこのままの思考では、娘と二人でゆったりした気持ちで過ごす時間をジェイジェイと奪い合うことになる。それだけは避けたい。一番いい解決方法は家族で行うということだ。この場合、食事を一緒に作るというのがいいと思うのだが、調理の分担作業というのは、調理器具の配置や数、作業台などの環境面や、料理によって材料集めや下ごしらえ手順などの段取り必要で、かなり難易度が高いのだ。基本的に現在の日本のキッチンは母親専用なのである。

私は「あんたは料理の手伝いをしない。育て方を間違った!」と散々デコ母に言われて育ったが、夕飯準備の時間はピアノの練習時間で、それが私の仕事だと思っていた。そんな風に子供に思わせていた時点で確かに育て方を間違っている(苦笑)。しかしそれ以上に、キッチンは母親の聖域で、私が入ることで母のきびきびしたリズムが崩れることが嫌だろうなと思った。リズムを崩さないように入るにはとても怖かった。手伝えても料理の後の洗い物くらいだった。今でも他の人が主のキッチンは嫌だ。そして料理が嫌いだ。

だからなのか。昔から広いキッチンにあこがれた。アイランドキッチン。料理が苦手なのになぜだろうとぼんやり思っていたのだが、それは作業分担という公平の象徴だったのか。

国際関係や人権活動などを見ていても思うが、メリットを享受しているほうが自分から犠牲を申し出ることはない。犠牲を強いられているほうが声を上げて権利を獲得して立場を築かないと。それが歴史なのだろう。われら夫婦の歴史。家族の歴史。





トゥットゥへの気付き
様子
夜寝る前に暗い寝室で動画を見ることは禁止しているのだが、17日の晩はこっそりお父さんとミッキーマウスの動画を見ていたようだ。そこに家宅捜索をする刑事のように私が踏み込むと、トゥットゥは弾かれたように横になり寝たフリ。ウソをつくのはすでに体験したが、演技までとは…泣けた。
体調
減らした下剤4滴とマッサージが排便に効いている。調子がいいようだ。
食事
保育園から帰ってくるなり「みかん」を所望する。みかんは自分で皮を剥いて袋ごと食べることができる。「みかん」はトゥットゥの時間かせぎができるのでいいアイテムだ。