急にゴッシュが大学病院の救急外来に行くことが決まり、保育園にいるトゥットゥをピックアップして、一緒にタクシーで大学病院に向かった。17時に到着、待つこと30分。ゴッシュはお腹がすく頃であるが、高熱のせいか抱っこ紐の中で大人しくしていた。トゥットゥも保育園で借りた本を読んだり、自販機で買ったジュースを飲んだりしておとなしく待っていた。二人ともいい子だった。
診察室に入ると若い医師が丁寧に経緯や容体を聞いてくれた。後ろには先輩医師がついていて、あれこれアドバイスをしているところを見ると駆け出しなのだろう。実質二人でゴッシュを見てくれたことになる。熱は39度5分あったものの、比較的元気であること、血中酸素が98%あったことと胸の音から、入院するほどではないと判断したらしい。薬の吸入と鼻水吸いを行って、家に帰された。
私たちが家に到着したのは19時。もし入院になった時のためにサチ母にきてもらうようお願いしておいたため、ちょうど19時過ぎにサチ母も家にやってきた。私たちはゴッシュが入院にならなかったことを喜んだ。私はここにきてようやく生きた心地がした。それくらい気が張り詰めていたのである。
翌日、ゴッシュの熱は37度7分までに下がった。大学病院に再診するほどではないとは思ったものの、昨日の救急外来の医師から経過を見させて欲しいと言われていたため、大学病院の小児科外来に足を運んだ。見てくれたのは金曜日担当のベテラン女医であった。待合室には大勢の患者が待っていたのだが、丁寧に診察をしてくれた。そこで最後に言われたことが印象的だった。
「実際に9月上旬からゴッシュ君の胸の音を聞き続けているわけではないため、最初に引いた風邪が悪化したかどうか、または体質的に喘息持ちかどうかはわからないんですよね。」
熱の引いた現時点での結論は上書きで別の風邪を引いたとのこと。木曜日の小児科医は大袈裟だったのではなく、経緯が分からず判断に迷ったからこそゴッシュを救急外来に回したのだろうと思った。やはり経緯が重要なのである。
土曜日、いつもの小児科に行った。大先生に経緯を話した。苦笑いしていた。上書きの風邪の症状(熱、鼻水、痰の絡んだ咳)については抗生剤を処方してくれた。9月から胸の音を聞き続けているこの先生は、
「RSウイルスでないとなると、ヒトメタニューモウイルス疑っているんだけどね。」
と言った。抗生剤は聞くのかと質問すると
「自力で治すしかない。」
とかぶりを振った。かかりつけ医の重要性を再認識した事件であった。もうしばらくお世話になります。