2017年11月25日土曜日

緊張のチュウ!?

運動会も終わり、10月25日。ゴッシュがようやく自力で立ち上がった。そしてその二日後の27日、ついに歩いた。胡坐をかくジェイジェイの少し先で立ち上がり、5歩くらいよちよちと。夕飯の支度をする私に、ジェイジェイが

「あ、あ、あ! 歩いてるよ!」


と叫んだのですぐに駆けつけると、ゴッシュはジェイジェイに倒れこんだ後だった。

「ほれ、もう一回」

とジェイジェイがゴッシュを立たせると確かによちよちと私にやってくるではないか。私は感動した。それまでハイパー伝い歩き(忍者にような素早い壁歩き)をしていたので、自力で立ち上がれば歩くのはすぐだろうとは思ったが、こんなに早くくるなんて。

それからは、トゥットゥも交えてもう一度、もう一度と囃し立てて、ゴッシュの歩く姿を動画に撮った。それをサチ母やデコ母にラインで送った。ゴッシュは疲れたらしく、この日はもう歩かなくなったけれど。





運動会が終わると、トゥットゥのお遊戯会の準備が始まる。今年の演目はなんと桃太郎。配役を楽しみにしていたら、配役の張り出しがあった。トゥットゥは「ナレーション」だ。早速衣装はスカートと白のブラウスと指定がある。

「むかーし、むかし、あるところに…」で始まる桃太郎。なかなか目立つではないか…とほくそ笑んでみたものの、やはり主役の桃太郎やお供の犬、サル、雉などのほうが、衣装らしいものも羽織るようだし、役付きのほうが絵的にはおいしいよなと思ったり。別に親としては本人が納得していれば何でもいいのだけれど。

立ち話で先生と配役の話になり

「なぜか雉が人気だったんですよね。なぜだろう。トゥットゥちゃんのナレーションは服装が地味な分、頭に大きなリボンをつけるので、可愛いですよ!」

と言ってもらった。

ナレーションについてトゥットゥはどう思っているのか。

「トゥットゥ、ナレーションやるんだって?」
「ナレーターだよ。ナレーター!」
「ナレーションやる人をナレーターって言うんだよ!」
「ナレーションって何?」
「物語を説明することよ。説明するでしょうよ。『むかーし、むかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました』って」
「『住んでいました』じゃないよ、『いました』だよ!」

私の誤りにことごとく突っ込みが入るだけで、その役目についてどう思っているのか一向にわからなかった。

その後も「トゥットゥ、ナレーターのセリフ言ってみてよ。」とけしかけても、最初の下りを言うだけで、後は何も語らなかった。全容を教えてくれないのは、二歳の頃から変わらないよな





本番。幕が上がった。拍手。頭に大きなリボンを付けたナレーター3人娘が舞台袖近くに並んでいた。トゥットゥは何を思ったのか、隣の女の子にほっぺにチュウ! 緊張でおかしくなったか。人は緊張すると何をしでかすかわからないものな。あのマイペースのトゥットゥでもやはり緊張するのかと思った。

この「桃太郎」の一味違うところは「くいしんぼう」がキーワードになっているところだった。おじいさんおばあさん特製「きびだんご」で、犬、サル、雉が仲間になるばかりか、鬼までも虜にしてしまうという筋書き。皆登場するごとに「おなかのへるうた」を歌うのだから可愛いったらありゃしない。

ナレーターの女の子たちはというと、順番に時に3人一緒に状況説明していく中で、「きびだんご」に目をやりながら

「わたしたちもお腹が空いてきました。きびだんご食べたいですねー。」

というようなことを言った。可愛いと思った。





お遊戯会が終わり、再び先生と立ち話。

「トゥットゥちゃん、前日の予行練習はとても大きな声が出ていたんですよ。でも本番はさすがに少し緊張したんでしょうね。」

確かに3人一緒に言うはずのところで声が出ておらず、後から声をかぶせてくることもあったし、自分のセリフの時には飛んでしまって、しばらく間が開いたこともあった。きっとあのチュウとかもそうなんだろうな。トゥットゥに先生からの話を伝えると

「チュウじゃないよ。あれは耳打ちしただけだよ。『緊張するね』って。」

「耳打ち」という言葉を知っていることに驚きつつも、至極全うな答えをして、意外と自分を客観視できてるんだなと思った。

それはそうと撮った写真を眺めていると、トゥットゥは靴下をくしゅくしゅに下げていることに気づいた。衣装指定に則り、普段は履かせないスカートと黒いハイソックスを身に付けさせたのだが、着慣れていないにも関わらず、衣装を先に預けてしまい着こなしを確認できなかった弊害から、当日正しい身に付け方がわからなかったようである。それまでに何度か身に付け方を指導したのに…。思わずお小言を言ってしまった。

「あー、うーん、わかった。ソックスはあげるのね。〇〇組のとき(来年)ね。」

言うことはいっちょまえになってきたものである。